第6話
朝
俺はいい匂いと共に目が覚めた。
重い体を起こし少し痛むお尻に昨日、起きた筋肉ウサギとのことは夢じゃなく現実だったんだと改めて思い知らされる。
眠い目を擦り目を開けると…
J「おはよう。朝ごはん作ったから食べよう。」
昨日、公園で拾い俺を散々犯した変態ウサギが俺のために朝ごはんを作ってくれていた。
T「ん……」
俺はヨタヨタと歩きお腹を掻きながらリビングに向かい座ると、綺麗に焼かれた目玉焼きとトースト、そして俺の大好きなホットココアが出された。
T「なんで俺がホットココア好きって知ってんの!?」
J「これしかなかったら。」
T「あ……なるへそ……」
俺が思っていたよりもこの変態ウサギは色々と出来る男なのかもしれない。
俺のために朝からご飯を作ってくれるのだから(単純)
しかし、俺はパンの耳が硬くて嫌いだ。
綺麗に隅々まで塗られたバタートーストの耳を指でちぎっていると、ジレンは大きな口を開けてパンを食べながらそれをチラッと見る。
J「そんなことしたらパンの耳がもったいない。」
T「じゃ、ジレンが食べれば〜」
俺がそう言ってジレンの皿にパン耳を入れると、ジレンは少し呆れたような顔をしてパンの耳をもぐもぐと口の中に放り込む。
J「俺のご主人様は見た目よりお子ちゃまですね。」
ジレンはそう言ってなに食わぬ顔でトーストを食べてるので、俺は横でイーッ!!となりながら朝食を食べた。
朝食を終え俺が洗い物をしているとジレンが部屋の中を行ったり来たりして何かを探している。
T「なに探してんの?」
J「俺のネックレス…ウサギの姿だった時、俺の身体に巻きついてなかった?」
T「あぁ…箱の中に落ちてたからポケットに入れて持って帰ってきたよ。お風呂場にある服のポケットだ。」
ジレンにそう言うとジレンはお風呂場へと向かい、俺は洗い物を終え手を拭き、自分のアクセサリーケースからチェーンを取り出した。
T「あった?」
J「うん。」
ジレンが持ってきたネックレスからプレートを取り外し、俺のチェーンに付けて俺は向かい合ってジレンの首に手を回しネックレスをつける。
T「チェーンの留め金が壊れてたみたいだから取れちゃったんだろうね。」
そう話しながらジレンにネックレスを付けようとするが、うまくネックレスが付けれなくて手間とっていると、ジレンはクンクンと俺の首筋の匂いを嗅ぎ…背中やらお尻やらに手を這わせて笑っている。
T「おい!そんなことされたらくすぐったくて余計に付けられないだろ!!」
J「だってタケルくんいい匂いなんだもん。」
スーッと俺の脇腹を撫でて、慣れた手つきで俺のTシャツに手を忍び込ませるジレンに集中出来ず、ネックレスが付けられない俺はイライラして諦めた。
T「もう自分で付けろ。」
少し離れてジレンにそう言うとジレンは俺の顔を覗き込むようにして言った。
J「俺ウサギだからネックレスなんて付けられないよーーーーだ。」
チュッと俺の唇を掬い上げるようなキスに俺は顔が熱くなり、気まずくて視線を逸らすとジレンは笑う。
J「昨日、何度もキスしたのになんで今更そんな顔すんの。」
T「なんかむかつく!!なんなんだよ!?ウサギの世界からしたらキスなんて挨拶なのかもしれないけど!!俺にしたらキスは!!」
J「特別だよ?」
T「え?」
J「俺だってキスは特別…ウサギの姿であっても人間の姿であっても…誰にでもしてるわけじゃないよ?しかも昨日…俺に先にキスしたのは…そっちだからね?」
そう言ってジレンは俺の腰を引き寄せ深い口付けを落とす。
俺から…キス…したっけ?
ジレンの言葉を聞いて俺はジレンのキスに溺れそうになりながら昨日のことを思い出す。
仕事終わりに買い物に行ってジレンを見つけてジレンを抱き上げた…
そして俺の家に来るかと聞いて…
キス…
したわ…
全部俺から誘ってるわ…
俺の瞼はジレンのキスに集中する様にそっと閉じられ、ジレンのキスに応えてしまう。
頭ではダメだと分かっているのに身体が言うことを聞かず、ジレンの手の動きにピクピクと反応してしまう。
俺がジレンのTシャツをギュッと掴むと、ジレンは俺から離れてニコッと笑うが、それすらももどかしくて俺は自らジレンの頭を引き寄せジレンの唇を塞いだ。
唇を重ねるその音は次第に激しくなり、俺の芯が疼き出すのにジレンは息をするタイミングで俺からのキスを避けた。
J「彼女……いるんじゃないの?」
ジレンは笑いながら意地悪な顔をして俺にそう問いかけるが、俺は昨日、味わったばかりの快感を思い出し、ジレンの頬をなでまた唇を重ねようとしたその瞬間…
ピンポーン
俺たちの甘い時間を邪魔する音が入った。
つづく
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