第19話

俺は愛嬌たっぷりなジレンが可愛くて微笑みながら皿洗いをしていると、ワサワサと何かが俺の足首に纏わり付き俺は思わず叫んだ。


T「ギャぁぁぁあぁぁあ!!」


焦りながら下を見るとそこにいたのは…


T「えぇ!?ジレン!?なんでウサギに変身してんの!?」


俺は足元でウサギの姿となり俺の足首に纏わり付くジレンを抱きかかえ、お風呂に向かうと湯気が立ち込めシャワーが出しっぱなしだった。


誰かに背中のホクロを押された訳でも転んだ訳でもないのにウサギに変身しちゃうなんて…これが副作用ってやつ!?


慌てて俺がジレンの背中にあるホクロをぷにぷにと優しく押すと。


ポンッ


J「死ぬかと思った……」


ジレンはウサギの姿から無事、人間に戻った。


T「なんで急にウサギに変身しちゃったんだ?背中のホクロに何か当たった?」


お風呂のお湯が沸くまでの間、俺がソファに座ってジレンに問いかけるとジレンはとても深刻そうな顔をして俺をじっと見つめる。


T「な…なに?やっぱ体おかしいのか…?」


J「それが……」


T「うん……」


J「お風呂掃除しながらタケルくんの誕生日だし…」


T「うん……」


J「どんなえっちなことで喜ばせてあげようか想像してたら……」


T「うん…相変わらず変態だね……」


J「ちょっとだけ勃っちゃって……」


T「いつも俺の顔見ただけでも半勃ちだもんね……」


J「そしたら気づいた時にはウサギの姿になってた……」


T「えぇぇぇ!!!?待って…勃ったらウサギになるってこと…!?じゃエッチできないじゃん!!!?」


J「絶望……これが副作用ってやつか……だから回復治療いやだったんだよぉおぉぉぉおお!!」


ジレンはそのままソファにうな垂れた。


これはいかん…


いくらジレンの絶倫に振り回されて死にかけたことがあるとはいえ、ジレンとの行為は最高に気持ちいい。


俺だって男だしそりゃ、ジレンのどエロほどではないがそこそこ性欲だってたまる。


今日だってあんなこと言いながらもジレンとの行為を楽しみにしてたのに…


T「エッチ出来なくなるのが副作用だから…回復治療の話の時あんなに深刻そうな顔してたんだね……」


J「でも博士は!心拍数が上がったらウサギになる副作用が出るかも言ってたんだよ!その中でも勃ったらウサギになる副作用は0.123の確率だから、みんながみんな副作用出るわけじゃなくてレアなケースだって博士が言うから!!俺は博士を信じて回復治療したのに!!地獄だこりゃ…」


T「こんな事ならもっと治療前にヤリ溜めしとけば良かったな。ジレンと出来ないのなんて俺の方が死んじゃいそうだよ。」


そう呟くとジレンは勢いよく俺の手をギュッと掴み、俺はジレンの顔を見た。


すると、ジレンの顔はこの世のものとは思えないほど目尻が垂れ下がり、鼻の下はでろんでろんに伸びきり、デヘデヘと変な声を出してとても気持ち悪い顔をしていた…あ…!間違えた。とても本能的な顔をしていた。


T「な…なんだよその顔…その顔やだ……」


J「いやなんか俺とできないと死んじゃうとか言っちゃうタケルくんが可愛すぎてうぅぅううぅーーーー勃っちゃいそう!!!!」


T「あぁ…もう!勃ったらウサギになるからダ…」


そこまで言いかけた時にはもう既に遅し…


俺の隣に座ってデヘデヘと変態のような顔をしていたジレンは真っ白なモフモフの可愛いウサギになっていた。



つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る