第20話

T「ば〜か。だから言ったのに。」


そう言いながら俺はウサギの姿になったジレンを抱き上げその毛並みに顔を埋める。


ふわふわしてて陽だまりのような匂いのするウサギのジレンは、俺の顔を不思議そうに見つめて俺はその瞳にメロメロになる。


T「ウサギのジレンは本当可愛いな〜今日はもうこのままウサギの姿で俺と遊ぶ?」


ソファに寝転びウサギのジレンにそう問いかけると、キュッと変な鳴き声を上げて長い耳をピクピクさせると、付けたばかりのピアスが光り俺のシャツを捲り上げ中に潜り込もうとしてくる。


T「あひゃひゃもう〜だめだめ〜くすぐったい〜ひゃひゃw」


ジレンがクンクンと匂いを嗅ぐたびにふわふわの毛並みと髭がお腹にあたりくすぐったくって、ジレンは人間でもウサギになっても相変わらず変態のままだった。


そしてその日、しばらく俺はウサギ姿のジレンと遊び満足するとホクロをぷにぷにと押しジレンを人間の姿に戻してあげた。


するとジレンはすぐに人間に戻してくれなかったと拗ね、俺のペットだというのに謎のお仕置きと称して飼い主の俺を後ろから羽交い締めにし、自分が行為出来ない代わりに俺自身を永遠に朝まで弄び俺は朝まで快感にもがき続けた。


その日からのジレンの副作用は本当に大変で…


俺とギュッとハグをするとポンっとウサギの尻尾が出てきたり、俺とキスをするとポンっとウサギの耳が出たりしていた。


まだそれが家にいる時ならいいのだが、それが店でのバイト中でも俺と目が合って俺がニコッとジレンに笑いかけると、嬉しそうなジレンの頬からぴょこんっとウサギの長い髭が出現するのだ。


まだ、完全にウサギに変身してしまった時ながらぷにぷにと背中のホクロを押してあげれば人間の姿にすぐに戻れるのだが、この副作用に関してはジレンの脈拍が落ち着くまでは治らないので、ふいにウサギの髭や耳、尻尾が人前で出てしまった時は本当に焦る。


でも、店に来店してるお客様はそんなジレンを見ても客引きのコスプレだと思っているのか、あの顔の良いジレンがそんな可愛いコスプレをしていると大人気で人だかりができるほどだ。


女性たちに囲まれてまるでアイドルのような笑顔を向けるジレンが気に食わない俺はそんなジレンを見てフンッ!と拗ねているとニチカさんが笑いながら俺を宥める。


N「まぁまぁ、あれも仕事の一つだからさ。俺の店のためにも許してやってよ。ね?」


T「分かってますけど、可愛いジレンは俺だけのモノなのに。他の人のスマホにジレンの写真があるなんてなんかやだな。」


N「んふふふ…タケルって案外、ヤキモチ妬きだったんだね?可愛い。」


ニチカさんはそう言いながら店の奥に入っていき、ジレンはお客様に手を振りながら店の中に入ってきた。


J「はぁ〜疲れた〜お姉様たちの勢いすご〜」


T「そ…おつかれ。」


俺が素気なくジレンにそう言うとジレンな笑いながら俺をギュッと抱きしめる。


T「ってかさ?ウサギにならない為に回復実験したのに最近、人間の姿でいるより半分ウサギの姿でいる方が長くない!?脈拍上がったら耳が出たりするって言ってたけど、最近ずっと耳とかヒゲとか尻尾が出っ放しじゃん!!女に囲まれて興奮してるとかマジでないわ。」


俺はいつからこんなにもヤキモチ妬きになってしまったのだろう?


ジレンが他の人に笑いかけたり、手を振ったり目を合わせるだけでも嫌気がさして、ジレンが俺以外の誰かを考えて脈拍数が上がってるのも気に入らない。


大人げないと分かっていながらも年下のジレンについつい、そんな嫌な言い方をしてしまう。


すると、ジレンはそんな俺の言葉を聞いてさらにギュッと強く抱きしめた。


つづく

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