第21話

俺は俺を抱きしめているジレンの手を剥がそうとするがジレンはそれを許さない。


T「なんだよ。なんでなんも言わないんだよ。」


J「ん?そうだな…この人は俺の気も知らないで…って思ってる。」


俺はジレンのその言葉を聞いて勢いよく後ろを振り返ると、ジレンは俺の顔を見てクスッと笑う。


J「誰のせいでウサギの耳が出たり髭がでたり尻尾がでたりしてると思ってんの。ぜーんぶタケルくんのせいだよ?俺がお客様に笑いかけててもそれは仕事で、頭の中にはいつもタケルくんがいる。いつも俺をドキドキさせて興奮させるのはタケルくんだけだよ?なんでそれが分かんないの?あ…まさか…俺の副作用のせいで最近出来てないから欲求不満?」


ジレンはそう言って俺を揶揄うとケラケラと笑っていて、正直図星な俺は少し慌てながら必死で否定する。


T「は!?ん、んなわけないだろ!!バカかよ!!別に欲求不満な訳ないし!!」


J「またまた〜顔真っ赤だよ?」


T「はぁ!?バカ言うなよ!!俺は一人でも別に…」


俺がそう言いかけると、ジレンは店の中にお客様がいないのをいいことに俺の言葉を遮るように唇を塞いだ。


甘い吐息が重なり舌先が温かく溶けてしまいそうなキスにドキドキする俺は反抗も出来ず、大人しくなってしまう。


J「んふふふ…タケルくん可愛い。毎日キスしてるのにそんなウブな反応されたらたまんないな。」


T「べつにウブなんかじゃねぇし。」


J「そう?だいぶ副作用の抗体もついてきて調整できるようになってきたから…今夜あたり思う存分抱いてあげるね?楽しみにしといて?」


T「バカっ!!な…なにを!!」


J「いらっしゃいませ〜」


ジレンは1人焦りながら戸惑う俺を置いて、来店されたお客様のもとに駆け寄っていった。


帰宅後


ジレンはルンルンな顔して俺に近づいてくる。


いつもなら俺に触れたり、キスをするとポンッ!ポンッ!と耳と尻尾が出てきていたのに、少し何かに耐えてるような顔をしているジレンにはもう、耳も尻尾も出てこなかった。


T「うわぁ…ほんとにもう出てこないんだ…」


J「まぁね…今めちゃくちゃ耐えてるけど。」


そう話すジレンが少し気を抜くとぴょこんっと髭が飛び出してきて俺は思わず吹き出す。


J「あぁもう〜髭出ちゃった〜」


T「残念だね。まだまだお預けかな?」


そう言ってる俺の方が残念がっているみたいで、少し恥ずかしくてその気持ちをジレンに察して欲しくない俺は思わず視線を逸らす。


すると、ジレンは俺の手首を掴み自分の元へと引き寄せた。


J「いや、大丈夫。少し耳と尻尾は出るかもしれないけど、心拍数が上がってもウサギになることはないから。ヤろう。もう、俺が限界。」


T「は!?尻尾やウサ耳のジレンとヤれと!?いやいや、俺そんな趣味ないから!!」


J「またまた〜期間限定のお楽しみなんだから!そう言わず楽しみましょう?ね?」


ジレンに半ば強引にベッドに押し倒された俺はその夜…


ウサ耳と尻尾の生えた、えろウサギのジレンと熱い夜を過ごしましたとさ。


つづく

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