【BL】僕のペットは白ウサギ?

樺純

第1話

仕事帰り


近所のスーパーに寄って、買い物をした俺は片手にエコバッグを持ち寒い夜風に身を縮こまらせる。


「寒い…早く帰って鍋作ろう…」


ブルブルっと震えながら早足で歩いていると、公園の隅に小さな段ボール箱が見えた。


いつもならそんな段ボール箱…


気にならない。


ただのゴミとして捨ててある事なんてよくあるから。


でも、俺の足が止まったのはその段ボール箱に「誰が拾ってあげてください」そうマジックで乱雑に書かれてあったから。


周りを見渡しても暗くなり始めた公園に人がいるはずもなく、俺は1人その段ボール箱を見つめる。


すると…


ピョコン


そんな可愛らしい音が聞こえてきそうなほど可愛らしく、真っ白でふかふかの白ウサギが顔を出し、キョロキョロと周りを見渡している。


「可愛い……////」


生粋の動物好きの俺…


思わず頬が緩み、寒さなんて忘れた俺は段ボール箱のそばに駆け寄る。


すると、前の飼い主が付けていたのか、首輪のようなネックレスが箱の中に落ちており、俺はウサギを抱き上げてその白ウサギには大きすぎる首輪を手に取ると、それについてあるプレートを見た。


「Jiren」


そう刻まれてあったプレート。


俺に抱かれて俺の顔をじっと見つめるジレンは真っ白で黒い斑点が2つ並ぶように足にあり、その毛並みは冷たく濡れていてブルブルと身体を震わせていた。


可哀想に…こんな寒い中、濡れたままだなんて…


そんな事を思いながら毛並みを撫でるとその顔があまりにも可愛くつい、ジレンの鼻先に自分の鼻先をくっ付け、じっと顔を見つめるとジレンは不安そうに瞳を揺らしている。


「ジレン…俺んとこ来る?俺のペットになる?」


そう問いかけ、俺の腕の中にいる白ウサギのレンにチュッとキスをすると、ジレンは毛並みをモフモフとさせてニコッと笑ったような気がした。


「じゃ決まり!!だね?」


ジレンにそう言うと、俺はジレンを抱いて頬擦りをしながら立ち上がった。


久しぶりに動物と暮らせるんだと思うと俺は本当に嬉しくて、白ウサギのジレンには大きすぎる首輪の代わりに明日可愛い薄紫色の首輪を作ってあげようとか…


一緒に公園でお散歩しようとか…


同じベッドで一緒に寝ようとか…


色んな妄想をしながら俺はジレンが凍えないようにジャケットの胸の中で大切に包み込み家路を急いだ。


家に着き、俺はそのままお風呂へとジレンを連れて直行し、自分の服が濡れないようにラッグに掛けた。


しかし、ぴょんぴょんと落ち着きのないジレンは部屋の中が気になるのか、白い毛並みをモフモフとさせてお風呂場から脱走しようとするので、俺は慌ててシャツとパンツを脱ぎ捨て、全裸のままジレンを抱き上げて浴室へと入り扉を閉めた。


「まずはここで身体を綺麗に洗ってからお部屋に入ろうね?」


俺が優しくジレンが怖がらないようにそう声をかけてシャワーを出し湯加減を手で確認する。


そして、そっとゆっくりお湯をジレンの背中に掛けると、何かジレンの背中辺りにぷくっとした膨らみがあり、気になった俺がぷにぷにと優しく押すと…


ポンッ!!!!


そんな音と共にさっきまで白いモフモフの白ウサギだった可愛いジレンは…


J「あっつ!!ちょっとお湯の温度高すぎなんですけど!?」


なぜか筋肉マッチョすぎる全裸のイケメン男になっていた。


つづく

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