第14話 何用?
会計を済ませ、喫茶店を出た
閑散とした商店街を通り抜けていると、気配を感じた。
「やぁ、俺だよ」
「気配でわかっていましたが……朝から何用ですか?
そこにいたのは、いつもの着流しではなくグレーのスーツを着た
その姿を見て、
(いつもの仕事の依頼ではない……ということですね)
「ここで立ち話もなんだし、たまには街の方へ出てみないか?」
「……いいでしょう」
「それじゃ、俺のお気に入りの店があるからそこに行こうか。安心しろよ、
元から断る気がなかった
仕事以外で街に出る事がほぼないため、ある意味新鮮な気持ちだった。
****
「ここだよ。結構静かでいいだろ?」
着いたのは、テラス付きの洋食屋だった。西洋風でシックな建物が印象的だ。
中に入ると、平日の昼前だからか、そこまで人はおらず、眺めの良い席に座る事ができた。
「お前、初めての店はオレンジジュースからっての、まだやっているのか」
からかい交りの
「そこは僕の自由でしょう? それで、何用ですか? いつもの仕事と関係はなさそうですが?」
注文した品が届く前に、
「巫女の子……
彼なりに、彼女を気にかけていたのだろう。だが、生憎彼女とは昨日の夜以降まだ会っていないため、状況がわからない。
その事を伝えると、
「お前なぁ……。俺が言えた口じゃないが、流石にどうかと思うぞ?」
「
そこで言葉を区切ると、書哉は自身の両手を見つめる。
(僕の両手は……
「
書哉は頼んだオレンジジュースを口に含む。少し酸味のある程よい甘さが広がる。
「どうだ? ここのオレンジジュースの味は?」
「美味しいですね……僕には勿体ないくらいに」
自分を
だが……。
「まぁ、お前の在り方は否定しないけど……巫女の子にはそろそろ向き合ってやってもいいんじゃないか?」
諭すように言われ、
(確かに……そうなのかも、しれませんね……)
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