第16話 迷う彼は彼女の元へ
暗闇の中、彼女は泣いていた。
孤独感。
疎外感。
そして……誰からも認めてもらえないという事実に、泣いていた。
ひたすら泣き続けて、気づけば彼女は暗くて広い空間の中にいるのだった。
****
『はぁ!? 巫女の子が誘拐された!?』
電話口から
「はい、そのようです。……僕は……どうすべきなのでしょうか……?」
『どうすべきって……お前な? 俺に連絡している場合じゃないだろう? はぁ、押し問答している場合じゃないか。探すんだろう? 手伝うよ』
だが、
「
『権利?』
「そうです。穢れた僕に……清らかな彼女の無事を祈り、そしてあまつさえ救いたいと思うのは、傲慢なのではないでしょうか? 僕は……」
話を遮ったのは
『うるせぇよ、ごちゃごちゃと!! お前は、単に畏れているだけだ! 彼女を傷つけたくない? それこそ傲慢だろうが! 人は傷つけ合いながらも寄り添うもんだよ、
「
『わかったら、急ぐだろう? 実はまだ近くにいるんだ。このまま向かうから待っていてくれ』
そうして通話は切られ、残された
(人は傷つけ合いながらも、寄り添うもの……ですか)
街中を走った後、戻った静かな事務所内を見渡す。いつもならここに
あの後……自分では探しきれないと判断した
(背中を押してほしかったのかも、知れませんね……)
「待っていて、くれますか?
****
思ったより早く、
「感謝します、
「勿論そうするとも。さて、それでどこに向かえばいいんだい?」
問われて、
「
四体は頷くと、同じ方角目指して飛んでいく。それを見ながら、珍しく助手席に座っている
なぜなら、彼――
おそらく自家用車なのだろう、いつもの派手なスポーツカーとは違う白いステップワゴンで移動する。
向かうは、攫われた
彼女を救うために――。
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