第12話 それぞれの葛藤
霊力と霊感。
字面こそ似ているが、その本質は違う。
それぞれ解釈が
――霊力とは、
だからこそ、河川敷での怨霊達の念に
入浴を終え、自室に戻った
身体の震えは治まったものの、眠気が全くこない。
自分の無力さを改めて思い知らされた
(悔しい……! 悔しい、悔しい!!)
あらゆる感情が渦巻く。
胸に秘めておくには大きすぎて、ただただ泣く事しか出来ない。
そんな彼女を見つめる視線に気づく事なく――ひたすら泣き続けた。
****
同時刻。
そこまで度数の高くない、安価で量も少ない日本酒をゆっくりと飲む。
別に味わいたいからではない。
酒が入りすぎると、仕事に支障をきたしかねないからだ。
「ふぅ……」
血流が速くなるのを感じながら、息を深く吐く。
その時だった。
「お前が酒とは珍しいな? ……どうした?」
若い男性の声が室内に響く。
「
声をかければ、
無表情ではあるがはっきりとした意志を持って、
「……もう少し、あの子を見てやったらどうだ」
「それは……」
「怖いか。まぁ……それもあり方だろうが、女が泣いているのに手を差し出さないのは、納得いかない」
「中々痛い所を突きますね……。自分でも自覚していますが……」
そこで言葉を区切ると、
「……そうまでして、遠ざける意味があるのか?」
「あるから、そうしているのですよ……。彼女は、純粋すぎる」
「……そこから成長するものではないか。俺達と違って、生きているのだから」
だからこそ、
「……言っとくが、お前もだからな? ……生きている限り人は成長できる」
言いたい事を言えたからなのか、
一人になった
そして、静かに遠くを見つめる。
(僕は……)
言葉に出せない葛藤を胸にしまい込み、残りの酒を消費するためだけに呑みこむのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます