第11話 複雑な関係
静かになった河川敷から離れた
視線をやれば、
気丈に振舞おうとしてこそいるが、身体は小刻みに震え顔は真っ青になっている。
「……
だが、落ち着くにはまだまだ時間がかかりそうだった。
(どうしましょうか……)
「彼女が落ち着ける場所まで移動しないか? もっとも、車から降りると言ったのもこの子だけどさ」
少し呆れたような口ぶりで言うと、
「
「……はい」
静かに答えると
「二人ともシートベルトはいいね? それじゃ、ここからおさらばするとしようか」
……速度をゆっくりと上げながら。
****
「す、すみません……すぐ……立ちますので……」
その姿を見て、珍しく少しだけ困った表情をすると
「……言っとくけど、俺は手を貸してはやれないよ?」
……簡単に手を差し出す訳にはいかない。
いい大人の成人男性二人が、困っている時だった。突然、
彼女は静かに微笑むと、ゆっくりと
「……大丈夫? わたしも、怖い……?」
「……いいえ。怖くは……ないわ。ありがとう」
ぎこちなく微笑むと
服に付いた汚れを払う彼女を見て、
「お見苦しい所をお見せしました、
呼び捨てにされた
「じゃあ俺は行くよ。後の事は任せたから」
薄情にも見えるが、これが彼なりの一種の優しさでもあると理解した書哉は、頷くと玻璃を誘導し、恭史郎が車を走らせるのを見送る。
「……
そうして、
それぞれの想いを抱えながら――。
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