第6話 それぞれの帰路
街灯に照らされた真っ赤なスポーツカー。
その横で、
彼は、こんな薄暗さだというのにまたしても、本を読んでいた。
二人に気づくと、本から顔をあげる。
「
彼が
どうにも、
「えぇ、終わりました。帰るので、運転を頼みます」
「あぁ、そのためにここで待っていたのだからね。さぁ、乗っておくれ」
そんな二人のやり取りを見つめながら、
(なぜ、人は罪を犯すのかしら……)
****
事務所に戻ると、
「じゃあ、今夜もお疲れ様。まぁどうせ、近いうちに会うんだけどね? ……
彼の言葉に
それに気づきながらも、あえて触れずに
しばらくして、
「入りましょうか」
「……はい」
深夜の中、出る時に電気を消したため真っ暗な事務所へと入って行く。
そして、二階の住居スペースへあがると
ある意味、同居人とも言えるが……プライベートを詮索しないルールになっているし、二人とも
故に、軽く挨拶だけかわすと二人は分かれていった。
可能であれば、次の仕事が来ないようにと願いながら――。
****
夜の街を真っ赤なスポーツカーが走る。
一見すると、不審にも思えるし、実際何度も警察に職務質問されている
(今日は無事に戻れたね。幸運だ)
特に何事もなく、自身が所属する
発車しようとして、着信音が鳴ったため視線をそちらに移せば、そこには直属の上司からだった。
だが、彼はそれを切ると、静かに車を走らせた。
「悪いんだけど、この車に乗ったらもうプライベートなんでね?」
彼は自分の愛車に乗り込んだらもうプライベートと認識しているし、それを上司にも伝えている。
故に、彼が仕事の電話に出ることはない。
夜の街を再度走る。
そこに仕事をしている時の
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