第9話 怨みの念
(この気配は、なんだってんだ!?)
今までの怨みの気配とは違う、得たいの知れない感覚に身体を震わせ怯える
それでも……気配が消える事は
その時だった。
若い男の声が響いてきた。
「ふむ。なるほど……把握しました」
気が付けば、近くに人が立っていた。突然現れたようにも見える、その立ち振る舞いに
「貴方の罪を裁きに来ました。しかし、僕の代では初めて出会いました。ここまでの怨みを背負い、その上で気配を感じているのに……罪を重ねているとは信じ
彼――
「――では、裁きを
紫色のウェーブかかった長髪に両目を布で隠し、黒い長袖のフリルワンピースを着た二十代後半の娘が浮かぶように現れた。
「れ、霊!? とうとう視えちまった!? クソが!!」
それを認識しながらも、
「では……始めましょう」
「ひぃぃぃっ! 来るなぁぁぁぁ!!」
声を震わせながら叫び、がむしゃらに拳銃のトリガーを引く
「アンタの背負っている
****
「うっ……クラクラするぜ……うげぇ……ってひぃぃぃぃ!!」
悲鳴を上げる
霊感が強くなっている彼にとって、怨みの念は恐怖そのものに他ならない。
そうやって自分を守ろうとしないと、とてもではないが耐えられそうになかった。
だからこそ、恐怖はより濃くなっていく――。
****
「そろそろ……
怨霊達の念が溢れ、周囲に影響を及ぼす事だ。
「来ましたね。怨みの念が……空間から漏れ始めています」
一人口に出しながら、現状を正しく認識し……行動を開始する。
それは、処刑人としての顔ではなく――死霊を使役する者としての側面。
怨みの念を――鎮めるのだ。
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