第13話 交換した連絡先

「では、もしよろしければなんですが私に英語を教えてもらえますか?私、英語が得意じゃないので」


 色々と衝撃を受けた。まず、高校であった初日に勉強を教えて欲しいと言われたこと。そして、彼女が英語が得意ではないという事。たしか久保先生は宮橋純恋はとても賢く、テストでも満点を取っているという話だ。しかし、この話を断るわけがない。少しでも接点が持てるなら、少しでも会話できる事ならこの機会を逃すわけにはいかなかった。


「もちろんです。どこまで教えられるかわかりませんが全力を尽くします」

「はい、ありがとうございます」

「教えるにあたって具体的にどんな事を教えて欲しい、などありますか?例えば学校の勉強だけ、とか英会話も、とか」

「学校の勉強もそうですしもし英会話なども教えてもらえたらとてもありがたいです」

「分かりました。色々できそうな事を考えておきますね」


 どんな事ができるだろうか。学校の勉強を教えることは簡単だ。教科書を見て、彼女が分からない所をアプローチを変えて説明したりすれば良いだろう。しかし、英会話となると話は違ってくる。単語の選び方やスラング、発音などと要素をあげればキリがない。どれから教えようか迷っていると


「そうだ、連絡先を交換できますか?そうすれば何か質問があれば聞けますし」


 こんな事を聞かれた。


「も、もちろんです!ただ、スーパーを出てからにしませんか?流石にサッカー台を占領してしまうと良くないので...」

「そ、そうですね!そうしましょう!」


 急に聞かれたことで、それも連絡先ということで少し動揺したが自分を落ち着かせるためにも一度外に出てから、ということにした。そこからは出来るだけ早く買ったものを袋に入れた。元々買ったものも少ないのですぐに終わったが今すぐにでも連絡先を交換したかった。


「あ、俺のQRコードです...」

「あ、ありがとうございます。読み取らせていただきますね」


 そう言ってすぐに追加されましたという通知がきた。そのプロフィールを見てみると可愛らしい彼女が写っており、背景には綺麗な空が写っていた。そこからフレンドに追加し、"よろしくお願いします"というメッセージを送った。


「メッセージ届きましたか?」


 そう尋ねると携帯が震えた。何の通知だと思って見てみると追加したばかりの彼女からウサギのスタンプが送られてきた。スタンプの中に"はい"と書かれているのでそれが彼女の返事だろう。


「はい、無事届きましたよ。これでお互いに連絡が取れますね」

「えぇ、何かあればいつでも連絡してきてくださいね」


 そうしていると帰らないといけない時間になった。ここからは帰路に着くので別々の帰り道だ。よくある展開だと実は隣の部屋、なんていうのがあったりするが生憎そうではない。別れるのが惜しいがそうも言ってられない。まだ夜ではないが帰って料理、明日の準備があるからだ。そろそろ帰ろうかと思うと


「も、もし何か質問があれば今夜メッセージしてもよろしいですか?!」


 今まで少し俯いた感じでいたが急に顔をあげ、そう聞いてきた。もちろん連絡が来るのは嬉しいので否定するつもりは微塵もなかった。


「もちろんです。いつでもお待ちしています」


 彼女が言わなけれな自分で言おうとしていた。連絡をとっていいか、と。


「では今夜、連絡させていただきますね!」

「はい、お待ちしています」


 どんな連絡が来るのか、とても楽しみになった。今まであまり友達と連絡をとったことがあまりないため、どんな感じなんだろうとワクワクしていた。


「では今日はここでさよならですね」

「そうですね、あまり遅くなるとご家族が心配されるでしょうから」


 本音は彼女を家まで送っていきたかった。しかし、高校が同じだけで会ったのも今日で2回目なのだ。そこで急に家まで送らしてくれ、などと言っても困らせるだけ、なんなら不審に思われても仕方がない。なのでグッと堪え帰路の方向に体を向ける。


「俺の家はこっちなので。また明日、学校で会えたら会いましょう」

「はい、ぜひ。お昼休みにでも会いに来てください」


 そこで彼女のクラスを聞き、家に向かった。途中振り返ると彼女もまた振り返ったようでお互いに手を振って帰った。


「良い時間だったな〜」


 一目惚れの相手と一緒に帰っただけでなく、買い物まで一緒にしたのだ。それだけに留まらず連絡先まで交換できたのだ。こんな経験が今まで一度も無かった。


 しかし、あまり呆けているわけにもいかない。これから肉じゃがを作り、その後は軽く掃除をし、少し予習をしなければならない。時間はあるがあまりだらけているとその後にゲームが出来なくなるのですぐに動くことに。


 そうやって掃除をしていると電話がかかってきた。兄の柚真ゆうまからだった。


「もしもし、お兄ちゃん?急にどうしたの?」

『お、蓮。元気にしてるか?確か今日が高校の初日って聞いてたからどうだったか知りたくてさ。』

「うん、楽しかったよ。勉強もちゃんとしてたからあまり遅れを取らずにできそう」

『そうか、良かった。最初日本に帰って高校に転入するって聞いた時は心配だったけど声を聞く限り大丈夫そうだな』


 急な兄からの電話だったが掃除をしながら通話し、色々近況報告をした。


『何かあったら言えよ?確かにお互い遠いところにはいるけど出来る範囲でなんとかするから』

「うん、今のところ大丈夫だけど何かあったら頼らせてもらうね」

『おう、そうしろそうしろ。親とか杏香きょうかとかかえでには言いづらい事あったら言えよ?』

「うん、そうするね。ところで今日の講義は大丈夫なの?」

『おう、今日は午後からなんだ。だから時間のある午前中に連絡したんだよ。とは言ってもそっちはもう夜だし色々する事あるだろうからそろそろ終わるか』

「うん、お兄ちゃんもする事あるだろうし。大学頑張ってね」

『ありがとな。じゃまた連絡するわ!』


 そういって兄との会話を終える。1時間近く話していたことに驚いたが最近あまり話せていなかった事も会話に花が咲いたのだ。


 通話が終わった後は今晩食べる予定である肉じゃがを作ってみた。やってみると意外と簡単で宮橋さんから教わった料理中に洗い物をするというコツをやってみる後片付けも意外と早く終わった。今まで待っている間は動画などをみて時間を潰していたがこれも悪くない。


 そうした事が終わり、予習をしていると言っていた通り宮橋さんから連絡がきた。


『こんばんは。今夜はどうお過ごしですか?』


 彼女らしくとても丁寧な文章が送られてきた。


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 こんにちは、Ariesです。


 色々と純恋との接点を増やしてみましたが皆さん、どうでしょうか?自分でも色々と考えているのですがどうしても納得いかない部分などもあるので何度書いたり消したりを繰り返しています。


 もし皆さんがみたい展開などがあればコメントなど教えてください。このエピソードを楽しでいただけたら幸いです。

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