第21話 週末の勉強会

「明日の勉強会、楽しみにしていますね!」


 宮橋さんからそう言われて家に帰ってからは掃除と明日出す料理の仕込みに勤しんだ。元の予定だと敬斗しか来ないはずだったのである程度家にある材料で済ませようと思ったのだが追加で二人となると流石に食材が足りなかったので買いものにも行かなければいけなかった。


 そして次の日の土曜日。その日は朝から集まって勉強すると言う約束だったので起きてからちゃんとものなどが片付いてるかの最終チェックを行い、簡単な朝食を食べた。待っている間も少しだけ勉強していると来客を知らせるチャイムがなった。


『おはよう、蓮。開けてもらえるか?』

「おはよう敬斗。今開ける」


 そうしていると敬斗がやってきた。時間としては少しだけ早かったが待たされるよりはマシだ。


「お邪魔します。ってすげぇな、もう初めてのんかよ...」

「って言ってもやって5分も経たないうちに敬斗が来たけどね」


 敬斗を家に入れて最初に発した言葉がそれだった。


「あれ、親御さんは?もしかして仕事か?」

「あれ、言ってなかったっけ?俺はここで今は一人暮らしなんだよ」

「は?!」


 すっかり敬斗や藍沢さんや宮橋さんに説明するのを忘れていた。日本に帰ってくる時に妹が居たことで一人で暮らさないといけない事情を遅れながら説明した。


「お前、どんだけすごいんだよ...」

「まぁ簡単じゃないこともあるよ?何も言われないから楽だけどそのかわり全部自分でやらないといけないからね」

「まぁそうだよな... でもやっぱすげぇよ」


 なぜか敬斗からの評価はすごく高いみたいだ。確かに高校生でここまで出来る人は多くないだろうが遅かれ早かれ一人暮らしを経験することになるのでその時期が少し他の人より早いだけだと思っていた。


「そうだ、朝ごはん食べてきた?もしかしたら食べる時間なかったんじゃ?」

「あ〜、確かに食べてきてないがそこまでお世話になるわけにはいかないぜ。だって俺は今日ここに勉強しに来たわけであって朝ごはん食いに来たわけじゃないからな」

「まぁまぁ、作りすぎて余ってるから。食品を無駄にしないように手伝ってくれ」


 予想通り圭人は朝ごはんを抜いてきたようだった。と言うのも敬斗の家からここまで乗り継ぎの関係もあり結構時間が掛かるとの事だった。なのでもしかしたらと思い多めに朝ごはんを作ったのだ。


「お前、本当になんでも出来るんだな。羨ましいぜ」

「まぁ時間を効率的に使えばなんとかなるよ?俺もずっとこんなことしてる訳じゃないし」

「...俺も料理勉強するかな」


 そんな会話をしていると朝ごはんができたので簡単に盛り付けてテーブルに置く。敬斗からは好評で食べ終わる時にまたチャイムがなった。


『おはよう、レンレン!開けてー!』

『おはようございます、桜庭さん』

「おはよう、藍沢さんと宮橋さん」


 二人が到着したのだ。たぶん一緒に来たのだろう。そのままオートロックを解除し部屋まで来てもらった。


「お邪魔しまーす!」

「お邪魔します」


 家の中に迎え入れ、そのままリビングに案内すると敬斗がちょうど直帰をキッチンまで運んでくれていた。


「おはよう。蓮、朝ごはんありがとな。すげぇ美味かった」

「え、朝ごはんまであるの?」

「おう、なんでも作りすぎたらしくてな。めちゃめちゃ美味かったぞ」

「え〜、ずるい!私も食べたい!」


 そんなこんなで新たに朝ごはんを作ることが決まった。そして宮橋さんにもいるか聞いてみると顔を赤くしながら食べてみたいと言われたので2人をテーブルまで案内して用意し始めた。


 朝ごはんを用意している間に意外にも皆ちゃんと教科書やニートを取り出して勉強をする準備をしていた。そのまま始めようとしていたのですぐ朝ごはんが出来ることを伝えるとお皿などの場所を作った。


「桜庭さん、親御さんはどうされたのですか?一応ちょっとした手土産もあるので渡したいのですが...」


 朝ごはんが出来たのでテーブルまで持っていくと宮橋さんからも同じ事を聞かれた。なので敬斗と同様に事情を説明した。


「あ、そうなんですね。玄関に靴があまり無いので外に出られているのかと思ったんですが...」

「レンレンは一人暮らしかー。すごいなー」


 まぁ似たような反応だった。このことを言わずに招待したことを詫びると大丈夫だと返された。


 宮橋さんと藍沢さんが食べ終わった後にようやく勉強会が始まった。最初は色々と文句が出たが始めるとそれも少なくなり、最初にしていた雑談も次第に勉強の内容に変わっていった。敬斗が隣に座り、目の前に宮橋さん、そして斜め前に藍沢さんが座りそれぞれ分からないところを聞いたりしながら進んで行った。


 3時間ほど経つとちょうどお昼の時間と重なったのでキリの良いところまで終わらせて昼ごはんを取ることになった。これも用意してあると伝えるとありがたいと言われたが同時に用意しすぎだとも言われた。なんでも事前に3人が相談して外に食べに行ってご飯を奢ろうという話になっていたらしい。彼らの計画を潰してしまった事を詫びたがせっかく家に来てもらうのだからご馳走させてくれと言って納得してもらった。


 そうして前日から煮込んで作っていたカレーを取り出して火にかけて温める。ご飯も朝から炊いたのでルーが温まれば容器に入れて完成だ。日本で買えるkレールーの他に色々とスパイスや調味料を加えているので1日寝かせた方が味がよく出るので食べたい時は前日にまとめて作る。


「良い匂いだな」

「そうですね、楽しみです」

「お腹すいたね!早く食べたい!」


 そんな言葉を受け取りながら準備をしていく。カレーを温めている間に食器やコップを出して軽くテーブルセッティングをしたり皆が食べれる量のご飯をよそって深皿に入れたりしているとちょうど温まったので具材をルーをバランスよく入れる。


 そうして食べる準備が整ったので皆と休憩がてゆっくり食べた。


「うまいな!」

「うん、すごい美味しいよ!」

「スパイスが効いていてとても美味しいです!」


 カレーは皆から好評だった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 こんにちは、Ariesです。


 前回書いた通り明るめに仕上げてみたのですがどうでしょうか?個人的にはもう少し明るめにしてもいいかと思ったんですがなかなかイメージ出来なかったのでこうなってしまいました...


 こういった展開がみたい、などという希望があれば教えてください。このエピソードも楽しんでくださったら幸いです。

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