高校1年の3学期編

第7話 始まった高校生活

「いや〜、間に合ってよかった」


 通学中の蓮はそう呟く。今日は蓮が憧れの日本の高校へ行く日だった。


 蓮が純恋との出会いを思い耽っていた次の日、母からの電話がありそこでようやくやらなければいけない事があった事を思い出した蓮。そこからはとても忙しく動かなければいけなかった。母から"なんでもっと事前にやらなかったんだ"と言われたが仕方ないだろう。一目惚れの相手に出会い、ましてやかっこいいとまで言われたのだ。しかし蓮は何も言わなかった。


 いや、言えなかったの方が正しいだろう。一目惚れの相手にかっこいいって言われた〜などと言おうものなら母からの言及が凄まじいからだ。そういって何を言うか迷っていた蓮に対して母も言いすぎたと思ったのか謝ってきた。


「これからちゃんとしなければ」


 そうしたこともありなんとか3学期が始まる前に全てこなした蓮。前日には事前に高校に出向き、いろいろな説明を受け、担任の先生とも話をした。3学期というとても中途半端な時期に入学する訳だが学業については海外にいた頃から日本のカリキュラムに沿って勉強していたためあまり遅れをとることはなさそうであり、部活動などもやる事を考えたが今入っても浮くだけなので来年からどうかという案内を受けそれに従うことにした。


 軽く高校の施設の案内を受けたがやはり規模は海外に比べて劣るだろう(蓮の元いた高校の規模が大きいというのもあるが)。やはり星花学園にはプールは無く、蓮の得意なテニスも学園内にはコートがなく、学園外でやるとの事で少し残念だった。しかし、それ以外はちゃんとしており食堂の食べ物の種類の多さにはびっくりした。


「すごい高校だったな〜、本当に楽しみだ」


 そんな高校で送る青春を蓮は心を躍らせていた。まず朝起きて制服を着た時は感動した。今日から日本の高校生だと思うとワクワクしていた。


 高校で出来る事全てが楽しみだった。友達を作る事。日本語で授業を受ける事。放課後、新しく出来た友達と勉強や遊びに行ったりする事。部活に入って大会などで戦うこと。今までは本やアニメなどを通じて感じてきたものがようやっと今、自分も同じ事ができるのだ。

 

「もうすぐ家でないといけないな」


 そんな思いに耽っていると家を出なければいけない時間だった。最後にもう一回荷物を確認し、電気や火元などを確かめる。その後、自分の部屋を出たらちゃんと鍵を閉めて蓮は最寄りの神水かみず駅へと向かった。


 さぁ、そんな蓮が一番最初に経験したのは電車の混み具合だった。やはり朝は混んでいる。当たり前だろう。社会人と学生が使うのだから。もちろん経験がないわけではない。今までで何回かは満員電車には乗った事があるが今日は特別に酷かった。


「やっぱり人多いな〜...」


 蓮は今度から乗る電車を変えるか〜と呑気に電車に乗り込む。全く動けないかと言われるとそうでもないがやはり窮屈だった。そんな蓮が気にしているのは降りる場合だった。満員電車から降りれずに遅刻、なんて恥ずかしい話があるだろうか?そんなことは絶対にしてはダメだと言い聞かせ、出来るだけドアの近くに移動する。


 幸い蓮の最寄駅から星花学園までは電車で4駅と比較的近い方なのだ。といっても徒歩では通学できない距離なので公共交通機関を使うとなると電車かバスを使うことになる。自転車でも行けるが時間がかかるのと自転車を新たに買わないといけないことになる。これからどうやって通学しようかと考えている間に学園の最寄駅である木乃宮きのみや駅に着いた。すぐにおり、改札から出て学園へ向かう。


「確か改札を出て右に行くはず...」


 事前に高校へ行っていたのと駅から学園まではすぐなので道に迷うことは無かったがその代わりに周りには自分と同じ制服を着た生徒たちでいっぱいだった。その光景を見ると本当に自分は日本の高校に通っているんだという実感が湧いてきた。


「職員室は1階の...」


 無事学園に着いた後、職員室に向かう。事前にホームルームの事や場所は聞いていたのだが3学期から急に見知らぬ人が現れると皆びっくりするだろうと言うことでホームルームで紹介、参加という形になったのだ。


 朝から職員室に出向く、それも3学期初日ということもあり生徒からはとても不審な目を向けられた


「俺なにもしてないのに...」


 そう言いながら職員室に入ると担任の久保くぼ先生に呼ばれた。


「学園に無事来れたようで何よりだよ。実はちょっと心配でね...」

「はい、ちゃんと来れました」


 久保先生は比較的若くて落ち着きのある男性教師だ。この時期に転入してくる蓮の事を気にかけてくれていつでも力になると言ってくれる素晴らしい先生だった。


「昨日にも言ったけどホームルームまで行ったら一旦外で待機してくれるかい?その後に呼ぶからその時に入ってきてほしい」

「分かりました。他に何か頭に入れておくべき事はありますか?」

「う〜ん、自己紹介くらいじゃないかな?」

「了解です。考えておきます」

「まぁそんなに気張らなくていいよ。皆いい生徒だし」


 そう聞けて安心だ。仮に初日からいじめを受けようものなら蓮の心は真っ二つに折れるだろう。そんな会話をしていると後数分でホームルームという時間までになっていた。


「どうせだったら生徒が皆教室に入ってから行こうか。あまり見られたくないだろ、初日の朝から職員室から出ていくところ?」

「お気遣いありがとうございます。出来ればそうさせてもらいたいです」

「桜庭さんは敬語もちゃんと扱えるんだね。すごいな〜。とても今まで海外で過ごしてきて日本語をあまり使って来なかったとは思えない位綺麗だよ!」

「あ、ありがとうございます...」


 まさかここまで褒められるとは思ってもいなかった。そうしていると久保先生が出る準備を始めたのでリュックを担ぎ直した。


「さっき言った通り皆いい生徒だからすぐに打ち解けられると思う。もし難しいと感じるなら言ってね?積極的にグループワークとかでいろんな人と組ませてあげるから」

「本当にありがとうございます。その時は言わせてもらいます。」

「大丈夫だとは思うけどね〜」


 ホームルームの外につくと


「じゃ、呼んだらよろしくね」


 そう言って教室に入って行った。なにを言っているのかはあまり聞こえなかったが少ししてから大きな歓声が上がった。多分クラスの生徒たちに転入生がいることを伝えたのだろう。


 そうすると久保先生の声が聞こえた。


「さぁ、入ってきて〜」


 これが合図だと理解し、蓮は扉に手をかけ、教室の中に入って行った。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 こんにちは、Ariesです。


 ついに蓮が学園に到着しました。ここまで長くてごめんなさい...

 実を言うと、ここからなにを書くか少し迷っています。なのでもし良いアイディアなどあればコメントで教えてくださればとてもありがたいです。


 あと、読まれている皆さんにお聞きしたいのですがキャラのセリフ量が少ないと感じられていますか?自分で書いているとどうしても加減が分からず、このエピソードを書いている時は蓮が一言も発さない状態になっていて書き直したのです...


 なのでセリフ量を増やすべきか、減らすべきか、それとも同じ感じで行くか、コメントで教えてくださるとありがたいです。


 このエピソードも読んでくださってありがとうございます。また次のエピソードも読んでくださると幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る