第17話 週末の約束
「だからね、レンレン。これから純恋ちゃんとは仲良くしてあげて?」
藍沢さんからそう伝えられた。初めて会った時から仲良くしたいと思っていたが彼女のことを聞いてからより強く思った。昼休みが終わるまで藍沢さんと敬斗と一緒に会話をして途中で藍沢さんから純恋のクラスを教えられた。
「俺に伝えてよかったの、それ?」
「え、ダメなの?」
なんでも藍沢さんは俺が時々休み時間などを利用して彼女のクラスに行ってくれるもんだと思ってたらしい。
「いや、難易度高すぎるだろ。ただでさえ蓮は一緒に登校してきただけでクラスから村八分の状況なのにそんな中宮橋のクラスにまで行ってみろ。どうなるかは想像つくだろ?」
「でも仲良くしてもらいたいし...!」
「その気持ちも分かるけどよ」
その時に高校前に会ったことがあること、連絡先を交換してあることを伝えた。
「は、お前、宮橋の連絡先知ってんのか?!」
「う、うん。高校が始まる前に会ったことがあるんだ。そこで少し仲良くなってね」
「お前、絶対それをクラスの奴らの前で言うなよ?もし言ったら何が起こるか分かんねぇぞ?」
「でもびっくりだよ、まさかもう純恋ちゃんと既に会った事があって連絡先も知ってるなんて。いつ知り合ったの??」
「日本に帰ってきてすぐに縁があってね...」
そこで純恋と初めてスーパーで会った時の状況を話した。
「そうなんだ〜。純恋ちゃんとそんな前から知り合ってたんだね。それにしても災難だね、帰ってきて早々そんなトラブルに巻き込まれてたなんて」
「宮橋も宮橋だけどお前もお前だな。なんで自ら首を突っ込むんだか...」
「しょうがないだろ、目の前でそんな事が起きたら目を背けることの方が難しいんだから」
「でもその後は何も無いんでしょ?なら良かったじゃない」
そうして話していると昼休みの終わりが近くなってきたのでクラスに戻る事にした。その帰り道に純恋のクラスを通りがかったので藍沢さんが呼びに行ったが
「おかしいな〜。普段はお弁当持参してるから教室にいると思ったんだけど」
「居なかったのか?」
「うん、お昼休みが始まったと同時に教室から出て行ったみたい。どこに行ってたんだろ」
「まさか...」
敬斗が何か心当たりがあるのか少し考えていた。どこか分かるのか聞いてみたが答えてはくれず、そのまま教室に戻り、午後の授業に備えた。そこからは特に何もなく、普通に授業を受けるだけだった。
そうして迎えたホームルーム。久保先生が入ってきてちょっとした掃除当番の案内などをし、最後の連絡事項を伝えた。
「はい、皆さん注目。まだもう少し先の話になるけれど科目によっては小テストがあります。多分2週間後か3週間後になるけれど普段の復習を忘れないようにしてください。小テストがあるかどうかはそれぞれの先生に確認してください」
他には何も無いらしく蓮は掃除当番では無いのでそのまま帰れる事になった。
「なぁ、蓮。お前、テスト大丈夫そうか?」
「うん、多分大丈夫だと思うよ?」
「なら今度、俺に少し教えてくれねぇか?どうしても不安な教科が少しあってな...」
「全然いいよ。いつが良い?」
「お、マジか。すまん、日程までは決めてねぇんだ」
「じゃ連絡先渡すから決めた時に連絡して?」
「そうさせてもらうわ。ありがとな、蓮」
一緒に敬斗とテスト勉強する約束をした後、藍沢さんから教わった宮橋さんのクラスを覗いてみた。すると宮橋さんの姿は見えない代わりに教室の中に大勢の人がむらがっていた。多分だが宮橋さんはあの中心に居るんだろう。どんな会話をしているんだろうと少し耳を傾けてみると
「ねぇ、宮橋さん。今朝は誰と歩いていたの?」
「新しく出来たお友達ですよ?」
「「「...」」」
なんだか空気が重くなった気がする...
「その新しい友達とは仲が良いんですか?」
「良いですよ。なんなら連絡も取り合っていますし!」
「「「え?!」」」
その言葉を聞いて直ぐにその場を離れた。廊下を通った際に何か声が聞こえたが多分あの連中だろう。もしあのままクラスを覗いていて宮橋さんや他の人にバレたら何をされるかが分からない。
その後は普通に電車に乗り家に帰った。夜ご飯もある程度考えているのでそのまま家に居ながらちょっとした掃除や勉強をしていると見知らぬ番号からの電話が鳴った。
「もしもし...?」
『お、もしもし。蓮か?』
「あ、敬斗か。」
『そういや俺の番号言ってなかったな。すまん』
「いや、大丈夫。どうした?」
『勉強会の事でな、ちょっとした相談でよ...』
なんでも帰って色んな科目の復習をしていると予想以上に分からないところが多かったらしい。今まで勉強してこなかった訳ではないが分からなかった場所を放置しているとこうなったという。
『どうだろう、1日で終わるか?』
「いや、無理じゃない?朝から晩までずっとやればなんとかなると思うけど」
『うん、それは無理だわ』
と言うことでこれから少しづつやっていく事に。ただあまり時間もないためそんなに呑気にやっても間に合わないので
『今週末からお願いできるか?本当は明日からお願いしたいんだが弟の世話をみねぇとダメだし』
「じゃ土曜日からで。場所はどうする?」
『あ〜、俺の家はダメだ。多分弟が邪魔してきたりうるさかったりするだろうし』
「じゃ俺の家に集合するか。あとで住所送るよ。少しは自分で復習しといてくれ」
『おう、そうするわ。あ、もう一つ言う事があったんだ』
「なに?」
『今日、やたらクラスの奴らがお前の事を目の敵にしてただろ?その事なんだけどな、これからあまり改善しないかもしれねぇ』
「え、なんで?」
『今日の放課後の宮橋のクラスって覗いたか?』
ここでなぜかは分からないが本当の事を言った方が良いか少し迷った。しかし、嘘をつく理由もないので正直に覗いたと言うと
『人が多かったろ?なんでも色んなクラスの奴が宮橋に話を聞きに行ったらしい。中には俺らのクラスの奴らも居てな?』
「でも何がそんな問題なの?」
『そこでお前が既に宮橋と連絡を取ってる事や事前に会ってる事が周りに知られたんだよ』
「あ〜...」
なんでもクラスから逃げた後に前から知っていた事を周りに言ったらしい。
『それだけで収まったら良かったんだけどな』
「え、まだ他に何かあるの?」
『あぁ、宮橋さんが怒ったらしいんだ』
まさかの報告だった。
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こんにちは、Ariesです。
何やら高校でもトラブルに巻き込まれる蓮。ここから一体どうするのか。興味がある方は次のエピソードも読んでみてください。
読んでくださってありがとうございました。
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