パーティーに行ってみた――5
「秀次くん……っ!」
「っ!」
蓮華が感極まったように瞳を輝かせて、カウンターを決められたナンパ男が唇をひん曲げた。
怒りと羞恥に顔を真っ赤にさせたナンパ男は、マウンティングをかます猿みたいに、歯茎をむき出しにする。
「ぬかしてんじゃねぇぞ、クソガキが! 俺を誰だと思ってやがる! 金木工業の――」
「なにをしている、
ナンパ男が俺の胸ぐらにつかみかかろうとしたとき、パーティー会場に怒声が響いた。
血相を変えて、ドスドスと走ってくる小太りの男。おそらくはナンパ男の父親。つまり、金木工業の社長だろう。
金木社長が慌てふためいているにもかかわらず、ナンパ男は勝ち誇ったような顔をしていた。援軍が登場したと思っているのだろうか? つくづくバカな男だ。
「聞いてくれ、親父! このクソガキが俺の――」
「クソガキはお前だ、バカ息子!!」
調子に乗るナンパ男の頭に、金木社長のげんこつが炸裂した。なにが起きたのかわからないのか、ナンパ男が頭を押さえて目を白黒させている。そんなナンパ男の頭を金木社長がつかみ、押さえ込み、無理矢理這いつくばらせた。
「な、なにするんだよ、親父!」
「こっちのセリフだ、馬鹿野郎! お前はこの方々がどなたかわからんのか!」
怒りと焦りと恐怖を混ぜ合わせたような表情で、金木社長が叫ぶ。
「山吹グループの後継ぎである秀次さんと、月見里グループの経営者一族である蓮華さんだぞ!」
「は、はあ!? こんなガキ共が――」
「この方々だろう!!」
いまだに自分の立場がわかっていないらしいナンパ男に、金木社長がまたしても雷を落とした。
「この方々の不興を買えばどうなるのかがわからんのか!! 山吹グループと月見里グループなら、
「な……っ!?」
ようやく自分の過ちを悟ったナンパ男の顔から血の気が失せる。顔面蒼白になったナンパ男の頭を押さえつけ、金木社長が息子共々土下座した。
「このバカが大変な無礼を働き、申し訳ありません! 非礼を承知の上で、どうか、どうか、ご容赦いただけないでしょうか!」
「そんなにかしこまらなくても結構ですよ」
正直、許したいとは微塵も思わなかったが、声を荒らげることも権力を振りかざすこともせず、俺は
「個人の感情であなた方をどうこうするような愚かな真似はしません。そもそも、私にそんな権利はありませんしね。ただ、周りを不快にする行為は控えていただければありがたいです」
「肝に銘じます! このバカにもしっかりと言い聞かせますので! ご寛大な対応、ありがとうございます!」
穏やかに、和やかに、ただし、『感情でどうこうしない』、『自分にそんな権利はない』など、ナンパ男の行動を暗に
土下座したままの金木社長が
内心で俺はほくそ笑む。
こういう
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