第4話

2人が警察に連行されて行った後の、捜索者協会の会議室にて


榊「さて、2人の事は警察に任せるとして、押手くん、君が持って来たドロップ品の事なのだが、国の方がどうしても売ってくれと聞かないのだよ」


真「はっ?何を言っているんですか?妹を救えるかも知れないのに、売る訳が無いじゃ無いですか!」


榊「うむ私もそうは、言ったのだが………初出の物は国としても、手元に持って置きたいと言って、聞かないのだよ、今日渡せる物は、君が鉄の棒と言っていた、魔鉄製のメイスだけだ」


真「………この国は俺から全てを奪うんですか………」


榊「?!やはり君は押手夫妻の?」


真「押手魁琉オシデカイル押手舞花オシデマイカは俺の両親です」


榊「やはりか……やはり英雄と聖女の息子か……」


真「ふっ、英雄?聖女?国が後から勝手に付け足した称号ですよ!俺達にとっては、ただの父と母です」




7年前、まだ世界中が溢れ出たモンスターの駆除に追われていた頃、

当時のアメリカの大統領が、

ワシントンやニューヨークに巣くうモンスターを駆逐する為に、日本政府に助けを求めた、

ワシントンやニューヨークを、モンスターから奪い返す為に、

日本の上位捜索者の派遣を依頼してきたのだ、

その為に当時の日本の総理大臣が調印式の為にアメリカに行く事になり、当時上位捜索者だった俺の両親が護衛として、同行する事に成った、


アメリカに渡り記者会見を行う場所で、その事件は起こった


二発の凶弾が、総理大臣を襲ったのである

護衛に付いていた母が直ぐ様、回復魔法を使い、総理大臣は一命を取り留めたが、

続く凶弾に父が倒れ、最後に母が凶弾に倒れた、


その後アメリカはこの事件の犯人は、銃を持ったゴブリンの犯行と発表した、


どの映像からも、二ヵ所からの狙撃だと判明しているのに、

アメリカは犯人はゴブリンだと断定し、捜索は終了した


直ぐ日本に戻った総理大臣は、アメリカへの捜索者の派遣や、捜索者の渡米を禁じた、

その後日本国内のダンジョンは、日本人・・・以外の入ダンを禁止し、捜索者資格も日本人・・・以外の取得を禁止した、


それ以来アメリカとは、良い関係とは言えない状態である


そして日本政府は父と母に英雄と聖女の称号を贈った


ふんっそんな称号を贈ったって、父と母は戻って来やしない

其れに称号なんて何の役にも立ちゃしない………………………



榊「押手くん本当に申し訳ないが、月曜日の15時にもう一度、来て貰えないか?」


真「何故です?売らないと言っているんですよ?」


榊「済まんな、私が言って断られたら、直接会って説得すると、言っているのだよ」


真「まぁ直接会っても売りませんけどね!それで?

青色のポーションと鞄は、どんな物だったんですか?」


榊「うむ、青色のポーションは状態異常を48時間防ぐ効果があるらしい、

鞄は大きさや重さに関係無く、100種類の物が10個づつ入り、時間経過が1/10に成る、所謂いわゆるマジックバッグと言う物らしい」


真「あぁぁっ成る程!そりゃぁ国としては、喉から手が出る程欲しがる訳だ!」


榊「押手くんは余りビックリしていない様だが?」


真「まぁそうですね、渡せる物がメイスだけって時点で 想像は出来ましたから!でも、大きさや重さに関係無くって言うのはビックリですね!飛行機や船なんかも入っちゃうんですかね?」


榊「制限が無いって事は、入るのかも知れんな?」


真「話しは此で終わりなら、

もう良いですか?」


榊「あぁご苦労様、帰りに緑川くんから、メイスだけでも受け取って行きなさい、お疲れ様」


真「分かりました、お疲れ様でした」


会議室から出て、俺は1階の受付カウンターに向かった


ヒソヒソ…………ヒソヒソ………………

………ヒソヒソ…………クスクス………

ん?

2人の男が俺の方に歩いて来る


男1「なぁなぁなぁこれお前だよな?」


そう言って1人がスマホを見せて来た、

それは剛田が投稿したと思われる、画像とコメントだった


真「それが?何か?」


男2「プッなぁこれに書いてある事は本当か?必要経験値1000倍のクズスキルって?」


真「だったら何か?」


男1「くくくっマジ?マジなんだ?なぁなぁ、今どんな気分?こんなデメリットしかないクズスキル無能って、どんな気分www?」


真「デメリットスキル?其れがど~したっ!お前達には関係無いだろっ!」


男「「なっ!てめぇっ」」


ヒソヒソ……ザワザワサ……ヒソヒソ……

ザワザワ…………ヒソヒソ……クスクス


真「なぁ…あんたらさぁ?さっき警察に連行されて行った2人見なかった?」


男「「はぁっ?」」


真「あんたら、ダンジョン法って知ってる?」


男「「えっ?あっ!………」」


真「緑川さん?此も立派なダンジョン法違犯ですよね?証人も一杯居るし、警察呼んで貰えます?」


男1「なっ!待て待て待て!そんな大事にしなくても、なっ!謝るからよ、なっ?許してくれよなっ?頼むよ、なっ!」


(はぁっ?何を言ってるの?此処が何処だか分かってるのかしら?

捜索者協会よ?そんな所で大声で人のスキルを言ったら、どうなるか位分かるでしょ?)


緑「警備員さんその2人を拘束して下さい!」


男「「うぇっ?ちょっ待って待って、謝るから、なっ?謝るから頼むよ」」


真「謝るからって、言ってるだけで、全然謝って無いじゃん!」


緑「はぁぁぁ警備員さんその2人を会議室に連れて行って下さい、あの押手さん、これを」


そう言ってバットケースを渡してきた


真「えぇと…あぁはい、有り難うございます、ケースは次来た時に返しますね」


緑「いえ、そのまま御持ちください、」


真「良いんですか?有り難うございます、それじゃまた、月曜日の15時位に来ます」


緑「今日はお疲れ様でした、又月曜日に」


俺は協会を出てFダンに向かった


さてメイスでの試し打ちと行きますか!


10匹程ゴブリンを倒して見た、メイスは重さがある分威力は在るが、普段使っているバットより10cm位短い75cm位なので、普段より足半分多く踏み込まないと、空振る可能性がある、そこは要注意だな!

俺はメイスの使い勝手を確かめた後、家路に付いた


明日は1度2階層に降りて見るかな?ヤバそうなら、1階層に逃げれば良いし、階段の側なら大丈夫だろ



------翌日------


今俺はFダンの2階層に来ている


ゴブリン1匹は楽勝、2匹もそこそこ余裕はある、だがゴブリン3匹、お前達はダメだ、囲まれて殴られた、何とか倒したけど、あれが刃物を持っていたらと考えると…………

舐めてた、たかがゴブリンだからと舐めてた

2階層は防具が無いと逆に殺され兼ねない、

最低でもヘルメットと盾は欲しい、

あと回復手段も必要だ…………骨は折れて無いけど、殴られた所が痛い、


くっ……今日はもう帰るか?

だけど2匹なら何とか成る、3匹の場合は見付からない様に、後から奇襲すれば…………

囲まれさえしなければ何とか成る、

そうだよ!最初の頃見たいに、後から奇襲すれば良いだけだ!

レベルが上がって、ゴブリンを倒すのに馴れて、戦い方が雑に成ってたんだ!

初心を忘れるべからずって言うしな!

ゴブリンに見付からない様に、

こそこそ移動し、後から奇襲をする、

俺はレベル1のザコなんだ!

ゴブリンと同程度のザコなんだ!慢心するな


その後俺は、午前中に22匹、

午後に31匹のゴブリンを倒す事に成功した、したのだが、

これだけのゴブリンを倒して、ドロップ品は無し、

せめて魔石の1つ位ドロップしてくれよ!此じゃ生活費が……


俺は背を丸めとぼとぼとダンジョンを後にした


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