概要
帝国の夜会で知り合った青年貴族の背には、敵意・殺意・怒りの花が咲き誇っていた。
声をかけて事情を聴くシィル。へぇ、そんなことが。でも少し待ったほうがいいです。今から、きっとあなたの望むことが起きますから。婚約破棄の裏で起きたそんな一幕。青年の悩みを華麗に解決した彼女は社交界の雑踏に消えていった。
共感覚。《フラワー・ヴィジョン》
彼女はその体質のせいで、貴族社会に嫌気がさしていた。
1人静かに、書物に囲まれて暮らせればいいのだけれど。
上流階級社会にうごめく思惑は、彼女をほって置かず、次々と事件に巻き込まれていくのだった。
小説家になろう様にも掲載しています
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!華やかな視界の中のピリリとした痛み。優しく美しい物語がここにあります。
人の感情が花になって見える能力、フラワー・ヴィジョンを持つ主人公、シィル。彼女はその能力のせいで、陰謀渦巻く貴族社会にほとほと嫌気がさしていた。
そんな最中。皇女がプレイボーイでどうしようもない婚約者アーバインを盛大に振って婚約破棄した。そこに居合わせたのは、アーバインに弄ばれた姉の敵を取ろうとする近衛騎士団所属のベルクント。フラワー・ヴィジョンの力で彼の殺意を察したシィルがその復讐を止めたことで、とある事件に巻き込まれることとなる。
婚約破棄。とっても大人気な要素ですが、ご都合主義なことが多いような。契約事なんだからそんな簡単に破棄できるわけないやろ!と、心の中で思ってしまう夢の欠片も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花は語る、人の心を。心が花で見える一人の令嬢の物語
自分にだけ花が見える……という作品はいくつか出会ったが、この物語はひと味違う。
今までそういう物語は恋愛ものであったが、こちらはミステリー要素なのだ。
花は感情であって細かい思考は分からない。推測しなくてはいけない。というところに新しさを見た。
しかも、花の名前→説明みたいなものではなく、ルビとしてくれているので、読み手としては読みやすい。ストレスフリーだ。
そして、何よりも素晴らしかったのが、花で感情を現すことで、言葉とは違う気持ちを現してくれること。登場人物の心の状態が現れることで、こちらの感情が揺さぶられるのだ。
優しくもあり、切なさもある。そして、恋愛やミステリー要素だってある…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋愛脳女主人公に飽きてる人にオススメ。薬膳料理のような胃に優しい小説。
歳のせいでしょうか。最近こってりしたものを食べると、てきめんに翌日の胃腸の調子が悪いです。
それと同じで、こってりな恋愛ものは心の胃がモタれるので、いつもは「恋愛」ジャンルというだけで読むのに二の足を踏んでいるのですが、この作品は薬膳料理のように胃に優しいです。
かと言って、少女小説のようにウブかと言えば違います。
表現が難しいですが、やはり薬膳料理かと。あとはお寺に近いものを感じますね。
西洋のお話ですが、禅に近い感覚。
主人公が物事を俯瞰して登場人物たちに接しているからでしょうか。
でも決して、主人公は冷たいわけじゃないんです。
優しい子だと文章の端々から感じ取れるので。
それに…続きを読む