第10話

 百合ハーレムを作り、色々なジャンルの女の子とヌチョヌチョすると神に誓った僕は大いなる野望への第一歩としてエミリア様との会談へと挑んでいた。


「おまたせしてしまい、申し訳ございませんでした」

 

 今、僕がいるのは王宮の応接室。

 申し訳ない程度に飾り付けされた簡素の部屋でしかない応接室で向かい合って座る僕とエミリア様は互いに笑みを浮かべ、口を開いている。


「いえいえ、こちらも王都観光を楽しませてもらいましたから」


 観光するものなんて特になかったが。 


「そうですか。それならば良かったです」

 

「あぁ……実は僕、お金を一銭も持っていなくてですね。お金をリリスに頼ってしまったのです。よろしければ、その分のお金を立て替えて頂けませんか?リリスに出費を強いたくないですし」


「……っ」


「どうなさいましたか?」


「いえ、なんでもありません。もちろん。よろしいですよ。これくらい当然のことです……それでは本題に入りましょう。私を助けていただいた……その褒美を与えたいと思っています。しかし、王都を見てわかる通り、私たちの国には余裕がありません。金銭も宝物もさしたる量与えられませんが、そこはご了承ください。……一応。褒美としてリスト様を我が国の方で登用するための椅子は用意出来ますが」

 

 エミリア様の申し出。


「是非。僕をこの国で雇っていただきたく」

 

 それに対する僕の返答は早かった。


「本当ですか!ありがとうございます!人手不足の我が国。リスト様のような強者が我が王国の席についてくれるともな」



「僕、ドワーフなんだよ」

 

 

「はい?」

 

 話の流れを完全に無視。

 エミリア様の話をぶった斬ってのいきなりのカミングアウトを前にエミリア様が固まる。


「わかりきっている茶番するの辞めようぜ?あんたらは僕が他国の間者であることを疑い……だが、野放しにすることも出来ない。であればどこか適当な役職を与えて縛り、行動を束縛する他ない。しかし、僕はそれを受け入れたくはぁ無い。というか、受け入れられない。僕にも洒落にならない事情があるのでな」


「えっと……ぉ?」

 

 困惑しているエミリア様を無視して僕は言葉を続ける。


「ドワーフって、さ。知っての通り人類社会との関係を完全に絶っている種族なんだよ……そんな中、誰も居ない中で一人。ドワーフの国から追放され、こんなところに迷い込んだ僕には何の身分も、知り合いもいない。崖っぷち状態。この国で雇ってもらわないと、リアルに餓死しちゃんだよね」


「そ、そうですか……」

 

 ペラペラと止まることなく喋り続ける僕に気圧されるエミリア様はただ、頷くことしか出来ない。

 僕はそんな彼女を見てほくそ笑みながら再度、口を開いた。

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