第26話

「そんな怖がらなくていいじゃーん!」


「ちょ!?」

 

 僕は恐怖の感情を浮かべるエミリア様へと抱き着き、ほおずりする。 

 

「ちょっびとだけ脅しちゃったけど、別に僕はクソ冷血女じゃないから安心して?ちゃんと国民の生活だって守るし、ゴミのように殺したりしないよ!」

 

 国の基盤は国民の生活であり、人口は国家の力。

 国民の生活が豊かでない国は最終的に狂いだし、人口の少ない国はどうあっても強くはなれない……アレステーヌ王国を強国化する上で国民の生活を豊かにさせるのはマストだ。


「ほ、ほんと……?」


「当然!僕はこの国を強くし、最も豊かな国へと変えて見せるッ!その過程で苦しむ多くの国民だって救って見せる。僕にはそれが出来るだけの力があるッ!」


「……なんでそんなことをあなたがするのよ」


「僕はね!女の子が好きなのッ!」


「は、はぁ?」


「でも……基本的に同性で愛し合うことは認められない。だからね!めちゃくちゃ偉くなって誰も僕に文句を言えないような状況を作って、金の力で女の子を囲うの!」


「そ、そうなの……」

 

 僕の発言を聞き、こいつは一体何を言っているんだ?といったような表情を浮かべて僕の方を見てくるエミリア様。


「僕には下心満載の目標がある……その目標のためにはアレステーヌ王国の強国化は必須。僕がこの国を良くしようとする理由はわかってもらえたかな?」


「わかったわ……えぇ、というか信じる以外に私の取れる手段なんてないもの」


「それなら良かった……僕とエミリア様は一心同体だからね……ふふふ。絶対に逃がさないから」

 

 次点の僕の目標は玉座にエミリア様をつけることだ……コネのない王子三人の玉座就任など御免被る。


「う、うん……お手柔らかに、ね?」


「もっちろん。僕は優しいからね。ちゃんと優しく丁寧に扱ってあげるよ」

 

 僕はそれを伝えた後、エミリア様から離れる。


「それじゃあ、僕はちょっとやりたいこともあるから、ここで失礼するね」


「あっ、うん。私の国のためにお願いするわ」


「うん。任せて」

 

 僕は


「あっ、ちなみにエミリア様も僕が好きな女の子リストに入っているから……ふふふ。一杯愛してあげるよ?僕の立場を利用してね」


「……ふぇ!?」


 去り際、エミリア様にそれだけ伝えた僕はその言葉の返答を聞く前に退散する。


「……これからだ」

 

 まずはこの国の玉座にエミリア様を着かせ、農業生産量を改善させて、工業面も発展させる。

 次にカスリーン王国を吞み込んで、大国の陰謀が廻る大陸の方へと干渉し、そこで巨大な帝国を作り上げ、この大陸の覇者となる。

 不穏な世界情勢たるこの世界ならこれくらいのことを成し遂げるつもりじゃなきゃ、同性での恋愛が忌避されるこの世界でドワーフという人間という別種族たる僕が安全に百合ハーレムを作り上げることなんて出来やしない。

 せっかくの異世界……楽しまなくては損というものだろう。

 さぁ、僕の戦いはこれからだ!

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毛むくじゃらなドワーフたちからパイ◯ンだからと国から追放されたTS転生ドワーフパイ◯ン褐色ロリ娘である僕は飢饉に苦しむ国家へと流れ着き、そこで農業革命を起こして国を救っちゃいます! リヒト @ninnjyasuraimu

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