第25話
「……ッ」
笑顔で肯定した僕の言葉。
それを受けてエミリア様は驚愕の表情を浮かべた後……僕のことを睨みつけてくる。
「何故、そこまで怒る必要が?貧民が死んだ。ただそれだけでしょ?食料を浪費する役立たずが減った。万々歳じゃないか」
「か、彼らだって私の大事な国民だよ!」
「僕にとっては大事じゃないね」
「……ッ!!!」
「僕にとって大事なのはこの国自体だ。国と国民は必ずしもイコールじゃないよ?」
「あ、あなたはッ!!!」
「言ったでしょ?僕は毒だって」
僕は笑顔を浮かべながらエミリア様へと近づき、彼女の頬を撫でる。
「僕はこの国家を修復する薬だ……だが、僕と言う強すぎる薬は国民にとって毒にもなりうる」
「……ッ」
エミリア様が僕の言葉に表情を引きつらせる。
「ねぇ……どうする?僕という毒を受け入れて国を救うか。それともきれいごとを追って国ごと死んじゃうか。どっちにする?」
「……ッ。そ、そんなの選択肢ないじゃない。わ、私じゃこの国を救うのに役不足、だよね。ハハハ……」
エミリア様が自嘲的に笑い声を漏らし、すべてを諦めたかのような表情を浮かべて体から力を抜く。
「成果を、見せられた。国を救うという意思も、見せられた……実際にうちの国はこれで数年は安定する……はぁー」
エミリア様は深々とため息を吐き、僕の方へと視線を送ってくる。
「君という毒を、最後まで飲み干すよ」
「ふふふ。それなら良かった」
僕はその言葉を聞いて笑みを浮かべ、口を開く。
そんな僕を見るエミリア様の瞳は恐怖に彩られていた。
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