第6話
ジメジメとした森林の中を進む馬に乗る複数の騎士に守られながら進む馬車。
その馬車の中に僕は座っていた。
「改めて。我々を助けて頂き感謝します」
そんな僕の前にきれいな服を身にまとった上流階級に見える少女と先程僕と言葉を交わした女騎士が座っている。
「いえいえ!先程も言いましたが人ととして当然のことをしたまでです」
少女の言葉に対し、僕はそう謙遜する。
「なるほど……まだ幼いのに人が出来ているのですね」
「いえ、自分はまだまだですよ……あっ。申し遅れました。私の名前はリスト。森の中で迷子になったただの少女にございます。馬車に乗せて頂き、感謝致します。おかげでこの森の中で餓死せずに済みそうです」
「いえ。命を助けられたのはこちらの方ですから。これくらいの恩返しは当然のことです。私の名前はエミリア・アレステーヌ。アレステーヌ王国の第一王女にございます」
「私はリリス・ストリア。ストリア侯爵家の三女にして、エミリア様に仕える騎士にございます。此度の襲撃。貴方様が居なければ私たちは主君たるエミリア様を守れぬところでした。再度、私から最大級の感謝を」
「……え?」
僕は目の前に座っている二人の自己紹介に驚愕し、固まる。
……ドワーフの国はほぼ鎖国状態の国であるが、だからといって人間社会の
この世界は近世ヨーロッパに近い社会であり、絶対王権なんて言葉が似合うほど王権の強い社会である。
僕の目の前にいる少女は絶対の存在たる国王……その娘?
え?僕ってば想像以上にとんでもない人と知り合って……いや、毒を使って自殺するという盗賊らしくない自称盗賊のこともある。
なんかとんでもないところに頭突っ込んじゃってない?僕。
「どうなさいましたか?」
「あっ。いえ。なんでも無いです」
「そうですか……あの、どうしても気になっているのですが……おいくつ、でしょうか?」
おずおずと、エミリア様が僕の年齢について尋ねてくる。
「8歳ですね」
ドワーフたちは全員合法ロリであり、見た目よりその年齢を看破するのは人間たちには出来ないだろうが、僕はちゃんと見た目通りのロリである。
彼女たちを見た目で騙すことにはならない。
「は、八歳!?……そ、その年齢で随分と、強いのですね……」
「自分は少々特殊な生まれですので……まぁ、落ちこぼれ扱いされ、追放された身ですが」
「お、落ちこぼれ……その強さで、ですか?」
「えぇ。まぁ、そうですね」
「凄まじい一族の生まれなのですね……では、行く宛もない感じでしょうか?」
「恥ずかしながら……そういうことになりますね」
「そうですか……でしたら、ぜひ我が国にいらっしゃってください。貴方様のような強者であれば我が国が迎え入れたいと」
「……ッ」
「本当ですか!ぜひ、よろしくおねがいします」
色々と不安点はある。
しかし、だからと言って目の前のエミリア様の提案を蹴れるほど僕の状況は良くなかった。
彼女の提案は僕にとって実に有り難かった。
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