第5話
8歳たる僕。
小さな少女でしかない僕が盗賊を相手に圧倒出来ているのはすべて、この世界にある原理不明の奇跡の力、魔法によるものに他ならない。
原理的には体内にある魔力を使えば何でも出来るらしい魔法を発動し、身体能力を強化した僕はこの場を縦横無尽に駆け巡り、次々と盗賊の首を跳ね飛ばしていく。
「は、はぇッ!」
「クソ……ッ!こんなガキにぃッ!」
「……ぁ」
「ば、ばけも」
ドワーフ製の短剣の切れ味は最高。
盗賊の持っている武器も、防具も、首も、すべてを完璧に斬り落とすことが出来る。
「君で最後」
「……く、クソがァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!」
最後に残った……リーダーらしき男は手に握った剣を握り、僕に向かって叫びながら斬りかかってくる。
「ほっ」
男より振るわれる剣をしゃがむことで回避し、男の足元へと迫った僕はそのまま短剣を振るい、男の足を斬り裂く。
「倒れて」
そして、背後へと回った僕は男の背中を蹴り、地面へと転ばせる。
「一人は捕縛しておいたほうが良いよね」
足の腱を斬られたこいつはしばらくの間立つことなんて出来ないだろう。
「……んぁ?」
事情聴取する必要があるかも?と思ったからリーダーっぽい人は殺さずに動けなくさせたんだけど……。
「こいつ、死んでね?」
地面に倒した後、ピクリとも動かなくなった男を前に僕は首を近づけ、男の状態を確認する。
「ほ、本当に死んでいやがる……」
どうやって自殺したのか。
地面に倒した男は完全に死んでしまっていた。
多分、口に毒か何かを仕込んでいたのかな……?
「ごめんなさい……一人は生かそうと思ったんですが、殺してしまいました……」
僕は謝罪の言葉を口にしながら呆然と僕と盗賊の戦いを見ていた騎士たちの方へと近づき、
「へぁ?……あっ!だ、大丈夫です!助太刀感謝致します」
呆然としている騎士たちの中の一人……女騎士が僕の言葉に対して反応し、感謝の言葉を口にする。
「いえ、一人の人間として当然のことをしたまでです」
良し……この騎士さんはとても良い人そうだ……ッ!!!少なくとも僕のような少女に酷いことをしそうではなさそうである。
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