第40話 感謝

 私とシルバーは夕方に向け、お店の開店準備のため自宅に戻って来た。

「さあ、シルバー。ワイルドボアの魔石よ。どうぞお食べ」


ワォッ姉さん!!ワォ、ありがとうワォございます


 ガリ、ガリ、ガリ、

  ガリ、ガリ、ガリ、


ワォ~~~~ンう・ま・い・ぞ!!』


 シルバーが魔石を食べると体が輝く。

 すると額にある縦2列の5cmくらいの角が僅かだけど延びていた。

 シルバーは胸を張り『どうです?』と、言うような態度と取っている。

 角の大きさが強さの証なのかしら?


「立派で強そうな角ね、シルバー」

グウンそんなウォン~姉さん~、』

 シルバーは尻尾を大きく振り、デレているように見えた。



 暫くすると冒険者の人達がやって来て、また忙しい時間がやって来た。

「今日から木皿です。食べ終わったら食器返却台に戻してくださいね」


「「 え~!! 」」


 お客さんから口々に不満の声が漏れる。

「仕方ないか…」

「そうだな」

「仕方ないよな…紙皿は高価だし…」

 そしてお客さんは口々に何かを言い自己完結していく…。


 忙しい時間帯もあっという間に過ぎお客さんは帰って行く。

 夕方、暗くなる前にはお客さんが居なくなるので、営業時間も1~2時間でとても効率がいい。

 え~と、今日は木皿が72枚だから72名の来店ね。

 そして売上は殆どのお客さんがスペシャルだから28,800円ね。

 この調子で行けば、悠々自適の生活よ、こんにちは!ね。


 木の戸を閉め戸締りをして、かんぬき錠を閉める。

 この世界ではガラスは貴重で、光を取り込むためには木製の窓を開けておく。

 夜は戸締りのため、閉めると真っ暗になってしまう。

 そこで蝋燭ろうそくの登場だ。

 季節は春。

 冬場なら囲炉を照明代わりに出来るけど、気温が高くなると火を焚いたら暑くて仕方ないからね。

 蝋燭ろうそく立てを何個かと蝋燭ろうそくをネットスーパーで購入し部屋の何か所かに置く。

 あとは火事に気を付けないとね。


 そして夜、目が覚めてトイレに行くときは、やっぱり懐中電灯が便利ね!

 LED懐中ライトがネットスーパーで買うと600円もしないなんて。

 普段なら気にもしなかったことが、この世界に来て分かったわ。

 あぁ、トイレはどうしてるって?

 それは…、ブッ、ブッ、ブッ。

 乙女の秘密です。



 閉店後、やることは木皿洗い。

 井戸まで遠く水を汲みに行くのが面倒なので、ネットスーパーで『六個の天然水』を12本購入し桶に水を入れて洗う。


 でも油を落とすのに中性洗剤を使うと、下水道がなく庭に水を捨てるには環境に良くない。

 どうしたらいいのか?


 あぁ、そうだ!!

 私は良いことを思い付いた。

 ストレージに『六個の天然水』を収納し水と入れ物に分ける。

 そして汚れた木皿を収納して、水と合わせイメージとしてジャブ、ジャブした。

 すると、どうだろう。

 木皿を出してみると洗ったのと同じ状態になっていた。

 そして汚れた水は『ゴミ箱』にポイ、と捨てる。

 やった!!これで手間と環境問題は解決ね!


 そして夕食ね。

 この世界に来てから私の食事はお惣菜だ。

 今夜のごはんは『だし香るロースカツ重』429円!!

 安い!!

 転移当初はネットスーパーは、役に立たないスキルだと思ったけど今は違う。

 必要なのは衣食住と考えたら、その内の食が簡単に手に入るだけでも有難い。

 それに台所用品が無くても、料理をする手間も無く食べられるなんて最高!!

 でもレンジが無いから、冷たいままなんだけど贅沢は言えない。

 転移する前なら当たり前のことだと思っていたことに今は感謝だわ。


 シルバーにも生肉を与え今日も一日が過ぎていく。


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