第51話 稼ぎ頭

 ふ~、朝が来た。

 昨晩の来客数はなんと262人!!

 みんなスペシャルを頼んでくれるから、1人400円で売上は104,800円!!

 いつもの3倍近い売上だった。


 そろそろ人を雇わないといけないかな?

 でも雇うと責任が生まれて嫌だな。

 まあ、後で考えましょうか。

 戸を開けるとたくさんのお客さんが並んで待っている。

 さあ、『屋台の店シルバー』の開店よ!!


 ワンコスペシャルをくれ!!

 こっちはニャンコスペシャルだ!!

「はいよ~、ワンコスペシャルと、ニャンコスペシャル入りました~」

 私は後ろを振り向き厨房に声を掛ける。

 まあそこには誰も居ないけど雰囲気ですから…。


 忙しい時間もあっという間に過ぎて時刻は朝の8時。

 やはり時計があると助かるわ。

 そして洗い物を始める。


 ネットスーパーで『六個の天然水』を購入し、ストレージに収納してから水と入れ物に分ける。

 そして汚れた木皿を収納して、水と合わせイメージとしてジャブ、ジャブと洗う。

 はい、綺麗になりました!!

 汚れた水はストレージの『ゴミ箱』にポイと捨て、後は木皿を拭けば終わりね。

 今朝も200枚以上木皿を使ったので拭くのが大変!!

 木皿を吹くだけのバイトなんて、さすがに人が来ないよね。

 働く時間も短いしー。



 そして店が終わったら冒険者ギルドに向かうのが日課となっている。

 日中に魔物を狩りギルドに素材の買取を依頼する。

 肉の解体がある時はまた来ることになるけど、買取りだけなら換金は翌朝にしている。

 そして買取カウンターに立っているマッスルさんに声を掛ける。


「おはようございます!マッスルさん」

「あぁ、おはようスズカさん」

「お願いしていた素材を換金しに来ました」

「では預かり書を出しておくれ」

「はい、お願いします」

「はいよ、お待たせ。ホーンラビット、ポイズンスネーク、ジャイアントスパイダー、レッドクラブか。普通ならパーティを組んで取り組む魔物を使役しえきしている魔物だけで狩ってくるとは大したものだよ。しかも毎日なんて考えられん」

「シルバーは優秀なものでー」

「それを使役しえきしているあんたの方が凄いと思うがね」

「そうですか」 

「ほら、買取金の16万だ。スズカさんがこのギルドで一番の稼ぎ頭だな」

「え~、そんな」

 シルバーが肉食でなければ危険が伴う魔物狩りなんてしたくない。

 いつも狩れるとは限らないから。

 でも仕方ないわね。

「じゃ、また買取があったら頼むよ。買い取れる素材があると言うことは、ギルドもそれを売れば儲かるからね」

「わかりました。ではまた」

 そう言うと私は冒険者ギルドを後にした。


 最近ではシルバーは魔石を欲しがらなくなった。

 正確には一度魔石を食べたことのある魔物や、自分よりランクの低い魔石は食べても効力が無いらしい。

 今のシルバーはレベルが上がり、ワイバーンクラスでないと魔石を食べてもレベルアップしないようだわ。


 あぁ、そうだ。

 ワイアット公爵のところにワイバーンの素材を売りに行かないと。

 そう思いながら私とシルバーは公爵家に向った。


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