第6話 魔物?!

 私はワンコ5匹を引き連れて暗い街道を歩いている。

 街に着くのは明日かな?

 いきなり転移して、初日から野宿とは…。

 

 そんなことを思いながら私は歩く。

 すると道の先に灯が見えて来た。


 これは?

 もしかしたら人が居るのかしら?


 そう思いながら私の足取りは早くなる。

 すると道の横幅が広くなるところで、誰かが焚火をしているようだ。


 ガサ、ガサ、ガサ、


「誰だ?!」

 よく見ると馬車が停まっており商人風の男性が1人と、冒険者風の武器を構えた男性が4人居た。



「こ、今晩は。街に向っている途中で暗くなってしまって…」

 そう答えると冒険者の男性が聞いてくる。

「なんだ、女の旅人か。それに…?わっ!!なんだこれは?!」


 ガルルルル、ガルルルル、ガルルルル、

  ガルルルル、ガルルルル、


「こ、怖がらないでください。この子達は私の連れです」

 そう言いながら私はワンコ達を見た。

「なんだ調教師テイマーか、驚かさないでくれよ」


「あ、いいえ。たまたまそこで出会って、餌をあげたら懐かれてしまって…」

「まあ、それでも5匹も従わせているんだ。大したものだよ」

 そうかもしれないわね。

 普通ワンコ5匹は扱えないわよね。


 すると奥から商人風の男性が前に進み出て来た。

「私は商人のヤルコビッチです」

 そう挨拶するヤルコビッチさんは30代前半の男性だった。

「あ、ご挨拶が遅れました。私は相川あいかわ 涼香すずかです」

「これは失礼いたしました。家名持ちの方とは…。ではスズカ様でよろしいですか?」

 あっ、いきなり名前呼びなんだ。

 この世界はフレンドリーなのかな?

 まあ、それならそれでいいか。

「様は要りません。涼香すずかで結構ですから」

「ではスズカさんですね」

「はい、それでお願いします」


 それから話を聞くとヤルコビッチさん達は、ここから東にあるジェイラスの町に小麦や日用品を売りに行った帰りだと言う。

 そして明日は王都のファグネリアに戻ると言う。

 確かに町には向かっていたけど『町』だったとは…。


 護衛の冒険者は『燃える闘魂』と言うパーティ名の4人で、リーダーで剣士のゲオルギーさんとアレクサンデルさん。

 弓のジョヴァンニさんと斥候のイングヴェさんだ。

 4人共20代後半くらいね。

 ちなみに顎はしゃくれていない。

 ぶふふ。


「スズカさんはジェイラスの町へ向かわれるのですか?」

 そうヤルコビッチさんが聞いてくる。

 でも話を聞くとジェイラスの町までは3日掛かると言う。

 それなら王都に戻れば半日。 


「王都に向おうと思いまして…」

「あれ?スズカさんは王都方面から来られましたよね?」

 あっ!まずい。

「実は村から出てきて、道が良く分からないまま歩いてまして」

「そうだったのですか。良かったですね、途中で気付いて」


 どうやらこの国はシェイラ国と言う名で、王都はファグネリアと言うらしい。


「王都に行かれてどうされるのですか?調教師テイマーなら冒険者でしょうか」

「冒険者ですか。でもそんな経験もなくて…。冒険者とはどのようなことをするのでしょうか?」


 すると冒険者のゲオルギーさんが答えてくれる。

「ギルドの依頼でモンスターを狩り素材を採集して売ったり、調査員や行商人を護衛することだな。まあモンスターがいなければ成り立たない職業ともいえるけどな」

「私にはできそうも無いですね」

「それにしてはその子達に懐かれているようだが…」

 気づくとワンコ達は、また私の腕や足を甘噛みしている。

 ガブッ、ゴリゴリ、ガブッ、

 本当に赤ちゃんね。

 だから頭を噛むのはやめてよ。

 髪の毛が唾液で更にベタベタだわ~。


「まあ、王都に着いてから考えたいと思います」

 でも私に何ができるのだろう。

 不安になってしまう。


「でもその子達を5匹も扱えるのかい?冒険者ギルドで調教師テイマー登録をすれば、王都に入ることはできるが。その子達が人を傷つけることがあれば、飼い主の責任になるからな」

「やはり5匹は多いでしょうか?」

「そうだな。普通、調教師テイマーが連れている戦闘系の魔物は1~2匹が普通だからね」


 えっ?魔物?!


 この子達が魔物だなんて…。

 ゲオルギーさんの声が遠くに聞こえた…。


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