第37話 お肉分けて

 私はヤルコビッチさんのお店に来て客間で向かい合っている。

「しかしスズカさんのお店が順調そうでよかった」

「はい、おかげさまで1日80~100人くらいの来客があります」

「ほう、それは凄い」

「まあ、ある意味、隙間産業すきまさんぎょうですから」

隙間産業すきまさんぎょうですか?」

「えぇ、これまで誰も注目してこなかった、分野と言うことでしょうか」

「新しい販路を開拓するということですか。これはためになりますな」

「そんな、大袈裟なことでもありませんよ」


「冒険者の方はどうですか?」

調教師テイマーの資格を維持するために、最低限の仕事は受けました。まあ、薬草採取ですけどね」

「薬草採取で魔物に出会って、命を失う冒険者もいますから気を付けてくださいね」

「すでに何度も出会ってしまって、その度にシルバーに助けてもらいました」

「お~、さすがはシルバーウルフの上位種ですね」

「シルバーの主食は生肉なので丁度、買わなくても済みました」

「ほう…」


「丁度、冒険者ギルドにワイルドボアだったかな?解体をお願いしてまして。肉はシルバーが食べるので持ち帰り、それ以外の素材は買取してもらう予定です」

「な、なんとワイルドボアですか?!」

「そう言う魔物の名前だとギルドの人が言ってました」

「ではスズカさん、1つお願いがあるのですが…」

「なんでしょうか、ヤルコビッチさん」

「実は魔物の素材の流通は、主に冒険者ギルドが取り仕切っています。そのため、肉も市場に出回るまでに時間がかかり、鮮度が落ちている上に価格も高額です」

 まあ、流通工程が多くなればそうなるわよね。


「そこでお願いがありまして、少しで良いので肉を分けて頂けないでしょうか?」

「えぇ、構いませんよ。とれる肉は200kgくらいはあると言ってましたから」

 シルバーの食事が1日10kgと考えても十分に間に合うわ。


「そんなにですか?!助かります。普通の肉は高価な上に日持ちさせるために、塩漬けにされ美味しくないので」

「わかりました。後でお持ちしますね」

「それからスズカさん。時間がある時にでも商業ギルドに、登録しておいた方が良いでしょう」

「商業ギルドですか?」

「そうです。今はスズカさんは食堂を開店しているので必要ないかもしれませんが今後、何かを売買しようとする時に商業ギルドを通せばスムーズに話が進みますよ。組合なので何かの時には相談に乗ってくれるので、入会しておいて損はありません」

「そうですか。わかりました」

「それから登録するとスズカさんはお店を開いているので、月単位の組合費を取られると思ってください」

「ではこれから行ってみます。後でまたお肉を持って来ます。色々とありがとうございました」

 そう言うと私は店を出た。




 城門寄りに商業ギルドや冒険者ギルドがまとまっている。

 その方が流通がしやすいからかしら。

 城門から奥に行けば行くほど住宅街が多くなっていく。


 しばらく歩いて行きと商業ギルドの前に着いた。

 二階建ての体育館並みの大きさだ。

 シルバーを入り口に残しスイングドアを開け私は中に入る。


「ちょっと待っていてね、シルバー」

ワフゥわかった!』


 中に入ると商業ギルドも冒険者ギルドと同じように、人が出払った時間帯なのか商人は少ない。

 私は赤髪の女性が立っている受付に向かう。


「ようこそ、商業ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

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