第43話 『栄養ドリンク』再び
「スズカ様。今夜はトロール肉が採れたので、盛大に催しをしたいと思います。どうか我が家に泊って行ってください」
「お気持ちは嬉しいのですが、実は朝と夕方は食堂をやっておりまして」
「ほう、それは…。しかしスズカ様は王都から来られているのでは?ここまで歩いて3日の距離のはずですが…」
「シルバーの背中に乗れば2~3時間あれば着きますから」
「そんなに速いのですか?!それなら楽ですな。では今から用意を致しましょう」
「えっ?(断ったのに)」
そう言うと村長は家を出て行った。
「ごめんなさいね、あの人はスズカ様には感謝しても、しきれないと言っていて」
「どういうことですか?コリンナさん」
「この村でアスケルの森の遠征から戻ってこれた男の人は22人です。それでも村は120人中、男手は老人を入れて32人しかいません。でもスズカ様にお持ちいただいた『栄養ドリンク』で老人も10~15歳は若返り、女性も男性以上に力持ちになり開墾や畑仕事にも困らず男手が居ない穴を埋めることが出来るようになりました」
「そんなことがあったのですか…」
「しかもあんなに効果のあるポーションなど、聞いたことがありません」
「あっ、まあ、あれは我が家の秘宝ですから(と、言っておこう)」
「まあ!!そんな貴重な薬を頂けるなんて感謝しかありません。そこでお願いなのですが…」
「なんでしょうか?」
「もし可能であれば『栄養ドリンク』を、定期的に売って頂けませんか?」
「定期的にですか?」
「えぇ、そうです。『栄養ドリンク』を飲んで女性は男性の何倍も働くことができ、老人も若返ったように働けます。『栄養ドリンク』お陰での今まで以上の働きが出来るのです。もし、これが無くなってしまったら地代が払えません。どうか願いします」
コリンナさんが私に頭を下げる。
「わ、わかりました。頭をあげてください、コリンナさん」
「では…」
「大人の方は75人でしたね。では80本置いて行きます」
「そんなにですか?!それにこちらから言い出してなんですが、お支払いはどうすればよいでしょうか?ハイポーションでも1本何万もするはずなのに…」
「う~ん」
どうやらハイポーションでも1本3~5万はするらしい。
それならそれ以上の効果がある、『栄養ドリンク』80本ならいくらになるの?
1本5万だとしても80本なら400万だよ?!
そこで私は考えた。
シルバーの肉が欲しいけど村に置いておいたら日持ちはしない。
それなら魔石がいいかも。
「では魔石でお願いします。定期的に来るので魔物の魔石が貯まったら、その都度頂いて行くと言うのではどうでしょうか?」
「え?!それでいいのですか。それではスズカ様が大赤字では…」
「いいのです。でもこのことは内緒にしておいてくださいね」
原価としては1ケース10本入り980円だから、80本でも魔石を何個かもらえば釣り合うわ。
「では魔石以外の素材も残しておきますから」
「スズカ様、焼肉の用意が出来ましたぞ」
村長さんが私達を呼びに来た。
「あなた、スズカ様が『栄養ドリンク』を定期的に卸してくれるそうよ」
「おぉ、本当か?!それは有難い」
「本当にスズカ様は女神様のような方ですね。感謝いたします」
えっ、あの女神と同じ?!
スズカは女神ゼクシーを思い浮かべ、村長達の感謝の意味とは違うことを考えた。
私がツルペタってこと?
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