第72話 公爵家再び
朝の八時が過ぎ客足がはまばらになった。
もうそろそろ午前は閉店かな?
そして最後のお客が店を後にした。
「はい、みなさん。午前はこれで閉店にしましょうか」
「もう終わりですか?」
「そうです。私のお店は朝は六~八時くらいまで。午後は十五~十六時くらいまでが営業時間です」
「そんな短時間で一日三千円も、もらえるなんて」
「洗い物が終ったら昼間は自由にして良いですからね」
「それは助かる。昼間は他の仕事が出来る。スズカさんはどうしているのかな?」
「私はシルバーの散歩ですね。雨の日以外は日課になっているので」
「これだけ大きな魔物なら運動量も相当だろう。大変だなスズカさん」
「いいえ、シルバーは大切な家族ですから」
「そうですね。それは失礼なことを聞きました」
「ではまた15時頃に来てくださいね。待ってますから」
「ではまた来ます」
「お疲れ様でした」
そう言うと彼らは帰って行った。
今日は天気が良いから少し遠出でもしようかな?
そんなことを考えていると、ワイアット公爵の使いがやって来た。
いったい、何の用事だろう?
まあ愛人契約、もとい客人契約をしているから、呼び出されるのは仕方ないわね。
もしかしたら私のことを…。
ワイアット公爵は50歳位で、奥様を亡くされて独り身みたいだし。
そうすれば私は公爵夫人よ!!
おほほほほほほ!!
はあ~あ、なんてね。
使いの人が私の横で困った顔をしている。
正確には馬車で迎えに来たがシルバーがいるので、私が馬車に乗ると貴族の馬車の横を魔物が並んで歩いていくことになる。
だから私がシルバーに乗り馬車の横を並んで歩いている。
馬車で迎えに来る意味がわからない。
するとすっかり慣れた街の子供達が追いかけて来る。
「もふ、もふ、待て~!!」
「シルバー遊ぼうよ」
「ワンコだ、ワンコ」
口々に騒ぎながら後を着いてくる。
「これから公爵様の所に行くのよ。またあとでね!!」
「え~、」
「またね、シルバー」
「バイ、バイ」
子供達に別れを告げ公爵家に向って歩く。
公爵家の門を
「スズカお姉ちゃん!!シルバー」
『ワフッ!!』
テレザお嬢様が駆け寄ってくる。
そして兄のハイラム卿、ダニロ侯爵とラヴィーナ侯爵夫人だ。
「スズカさん、ようこそおいで下さいました」
ラヴィーナ侯爵夫人が挨拶をすれば、ダニロ侯爵も嬉しそうに話し始める。
「オロビタン
そういうと侯爵はピョン、ピョン、跳ねてみせた。
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