第2話 新しい世界

 う~ん。

 私は目を開けた。

 どうやら無事に転移できたようだわ。

 ここはどこだろう?

 と、言っても元々、ここが分からないけどね。

 道端に座り込んでいるようだった。


 立ち上がりズボンの裾の土を手で払う。

 よく見るとゲームの世界の商人のような恰好をしているようだ。

 歩きやすい様にズボンなわけね。


 まずは現状を確認。

 ステータスを確認するように言われたっけ。

 でも現実世界はゲーム機と違い、どこかにボタンがあるわけでもない。


 ステータス!!と強く念じると、情報が頭の中に入ってきた。

 名前:相川あいかわ 涼香すずか

 所持金:0円

 魔石:小5個、中3個、大30個(換金すると303,500円相当)

 換金用の魔石か。

 小が100円、中が1,000円、大10,000円てことね。


【スキル】時空間魔法:次元に穴をあけ物を無限に収納できる。

 そこでは時間が経過しないから賞味期限も気にならない。

 買い物をしたものはストレージ内に収納される。


 異世界言語のお陰なのか、単位も円表示なのは助かるわ。

 でも女神様には『しばらく暮らせるだけのお金』と言ったはずなのに…。

 これでは2ヵ月も暮らせないわ。

 しかも他には何も入っていないんだもの。



 のどが渇いたな。

 あぁ、そうか通販サイトの能力で買えばいいんだ。

 どうすれば購入できるのだろうか?

 

 せめて『ヘルプ』機能があれば。

 そう思った時だった。

 ストレージの中に何かが入ったのがわかった。

『手紙』なんだこれは?


 私は何もない空間に手を入れることをイメージした。

 するとストレージの中から『手紙』を取り出すことが出来た。

 広げてみると女神ゼクシーからの手紙だった。


『は~い、貴方の女神ゼクシーよ。転移して右も左も判らないと思うから『ヘルプ』機能を付けたわ。何かあれば『マイク』マークをクリックして質問してね』


 ま、ご丁寧に。


『それから今いる場所は街から少し離れたところです。さすがに街中に転移は無理だから。この道を真っ直ぐに行けば、街に行けます。それからあなたが望んだ『ネットスーパー』は視界内で、タブレットを見る感覚で操作できるわ。やってみてね』


 え?なんですか?!

 頼んでいたのは通販サイトですけど。


 どれどれ、おぉ、できた!!

 視界の真ん中にタブレットくらいの大きさの画面が出て来た。

 つい左手でタブレットを持っている形になってしまう。


『それからあなたは途中から転移しているから、この世界で育った人より軟弱だから。ここは剣と魔法の世界、強くないと生きていけないわ。まあ、その分、体は丈夫にしてあるけど過信しないでね』


 体は丈夫?

 あぁ、あれ。

 健康で丈夫な体だよね。


『それと魔物は魔石を持っているから、倒すと売ることが出来るわ。売って生計を立ててね。ストレージに収納すれば、買取もしてくれるわ。そうしないと貨幣で買ってばかりいたら、その世界の貨幣が減ってしまうから』

 

 確かに、言われて見ればそうだ。

 しかし魔物と戦う術がないけどね。


『では良い旅を…』


 こうして私の旅が始まった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 読んで頂いてありがとうございます。

 面白いと思って頂けたら、♥マークを押して応援頂くと励みになり嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る