くらげの足跡は瑠璃色の空へと続く。

作者 深海かや

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★★★ Excellent!!!

 何気ない日常の描写が、繊細で美しく、夏の陽射しにキラキラと輝くようです。
 人物の心理描写も、温かい目線で、丁寧に描かれます。
 とくに、おばあちゃんの存在感が、深い。大好きです。
 ヒロインは美しく、儚く、切ないです。
 読了し、ああ、くらげの足跡は瑠璃色の空へ、溶けながら続いていったのだなあ、と納得。
 全体的に透明感のある物語です。
 心洗われたい時に、是非オススメです。
 

★★★ Excellent!!!

最初から引き込まれる文章で、情景描写、主人公の気持ちなど、事細かに表現されていて圧巻でした。
最初のプロローグでどうなるのか分かっているため、読みながら色々とその言葉の意味などを考えながら読まさせてもらう感じで、文章のうまさも相まって、つい感情移入をしてしまうほどでした(^^)
とても切ない悲しい、だけど美しい話でした。
素敵なお話、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

一人の少女が電車に飛び込む。その腕を、掴む。少女は涙を浮かべてお礼を告げた。
彼女が知る由もない、ある言葉を口にして。

この、駅のホームで始まる少年の日常と少女の非日常の邂逅――を目にした時、私は思わずパタリとページを閉じました。「じっくりと読もう」
例えば店先で覗いたページをすぐさま閉じて、家に持ち帰るように。
そうして彼らと同じように、かけがえのない一夏の時間を味わうようにゆっくりと読み進めました。

プロローグから予感する儚さ。挿し込まれる日記に秘められた心中。
少年・響と二人の学友と、少女・海月。この四人が紡いだ一夏は、幸せで、だからこそ切ない、人生の瞬きでした。――決して忘れることのできない。

海月はその名と同じように「くらげになりたい」と口にします。それが一体何を意味するのか……冒頭に口にするある言葉と共に不可思議で、謎めいたその意味は、この物語のテーマとなって解き明かされていきます。

情景・心情の描写は上手だとか丁寧だとか技巧的なそれ以上に、とても美しい。情景と心情を一つに表す絵画を見るような、一つに言い表せない感情が浮かびます。

この少年少女達の一夏を、プロローグのその先を、ぜひ見届けて頂きたいです。

★★★ Excellent!!!

くらげのように、ふわふわとした読後感だと思いました。

絶望や、やるせなさもある。
それなのに、高校生4人の日々はきらきらと輝いて眩しい。それだけでなく、4人が常に美しい風景、色彩の中にいるのがとても印象的でした。それぐらい情景描写がとても素敵なのです。
基本的には響の視点で描かれていくのですが、途中で誰かの日記が挟み込まれ物語を読む手が止まらなくなります。読者を引き込む構成も素晴らしいです。

この取り止めのない感情、何かに似ているな……と考えていたらそれが「人生」なのだと気がついたのは随分後になってからでした。
この物語には人生の喜びも悲しみもドキドキも……全てが詰まっている。そんな気がします。

儚げな少女、海月の「私、くらげになりたいから」とはどういう意味なのか。そして彼女の抱える秘密とは?

是非あなたの目で淡く美しい景色と共に4人の青春、いや、人生を見届けてください。

★★★ Excellent!!!

眩いほどの光を放つ青春の物語。
そこには生きる原動力が溢れ、時に美しく時に悲しく世界を演出する。

ある少女と一人の少年。そして少年の親友二人の四人を中心に物語は展開する。
文芸調の言葉を重ねた表現により鮮明に描かれた情景が作品を強く心に刻む。
その巧みさでグッと作品世界に惹きこまれる感覚が心地良い。

物語はかなり切ない展開となる。
ハンカチ必携だろう。
だがその先に進みゆく力強さ、清々しさに救われた。
沈みゆく太陽が水平線で美しい色を魅せるようにこのアオハルは主人公にとって福音だったのだろう。

美しい思い出と共に彼女は何を思うのか。

是非是非!!

★★★ Excellent!!!

「くらげになりたい」とは、本作に登場する少女の呟く印象的な言葉です。
日常に嫌気がさしていた主人公は、彼女との出会いによって変わっていきます。彼女もまた。

主人公と少女、友人たちの織り成す、輝かんばかりの美しい友情の物語は、得がたい青春のきらめきに溢れています。
そしてある秘密が明らかになった時に、物語は急速に切ないものへと方向を変えていきます。

ひと夏、彼らとともに過ごした気持ちになり、あちらこちらで笑い、そして涙して。
最後に胸に残る切なさと、温かさには、たまらないものがあります。
素晴らしい作品、多くの方に読まれますように。

★★★ Excellent!!!

冒頭を読めば、これから語られる物語が切ないものであることを想像できるでしょう。これは、くらげになりたいと願う少女と、彼女と友達になった少年少女たちの、切なくも瑞々しさが感じられる物語です。

情景描写が丁寧で、自身がその場で彼らと共にいるような感覚を味わえました。自然と光景が目に浮かぶのです。その世界が立てた音ひとつで、自分の中にある懐かしい頃に引き戻される感覚は、とても面白いものでした。

響が駅のホームで出逢う少女、海月。そんな彼女と友情を育んでいく響たち。
四人組の彼らが体験したかけがえのない時間を共有できたことは、とても感慨深いものでした。

彼らは純粋で、柔軟性があって、透明なキラキラしたものを持っている気がして、眩しい。特に恋をしている子って、切なくて可愛くて堪りませんね。

少女が選んだ選択、彼女を思う少年たちが抱く想い。
ひと夏の中で最大限に輝いた彼らの軌跡は、きっと私たちが前を向く道標の一つとなるでしょう。

★★★ Excellent!!!

目標もなく、ただ日々を過ごしている響とミステリアスな少女との出会い。
4人で育んでいく友情と恋心。悲しい出来事。少女の不思議な力。
たった、ひと夏の出来事なのです。
しかし、なんて濃くて大切な日々だったのだろうと思います。

物語は、読みやすくも美しい文章で綴られています。
4人が過ごすおばあさんの家や海や空の光景が鮮やかに脳内へと広がり、物語を彩っていきます。

読み進めていくうちに、様々な感情と出会うことになります。彼等と一緒に悩んでしまうこともあります。
それでも最後には、もう一度最初から読み返したくなってしまう。

落ち着いた空間で、ゆっくりと味わってほしい。そんな物語です。

★★★ Excellent!!!

高校生達のひと夏の物語で、作者さんもあらすじ等で書かれていますが、とても切ない作品です。

普通、は誰にでも与えられたものでは無い、と改めて考えてしまいました。

詩のような流れる文章がとても読みやすく、描写が驚く程丁寧なので、情景が目に浮かぶようでした。

思い切り泣きたい時にオススメしたい小説です。

★★★ Excellent!!!

くらげに憧れる少女。
その理由は、生きた痕跡を残さず死んでいくから。

冒頭から、不思議な価値観が呈示されます。

少女の電車の飛び込み自殺を阻止した少年と、高校の仲間たち。
いつしか少女を含む4人には、代えがたき太い絆が生まれます。

しかし、非情な運命と少女の抱える秘密。

すべてが明らかになったときの、主人公の少年の心情に、思わず涙します。

切なくとも、切なさの向こうに確かな光を感じる物語!

非常に読みやすく、感情移入のしやすい筆致は、読者を強く響かせるでしょう。
オススメします!!

★★★ Excellent!!!

 将来の夢というものを見つけられず、日々を憂鬱に過ごしていた高校生の響は、駅のホームで電車に飛び込もうとしていた少女を思わず助けた。
 初対面のはずの彼女はなぜか響を見て涙をこぼし、不思議な言葉を呟いて、微笑んだのだった――。

 出会いのワンシーンがとても丁寧に美しく描かれていて、運命的な始まりを予感させます。物語の軸になるのは主人公の響と、重い秘密を抱えて生きる海月、響の友人である拓馬と静香。高校生らしくきらきら輝く四人の夏休みに、美しくも切ない叙情をのせて、物語は描かれてゆきます。
 淡い水彩画、あるいはパステル調に描かれたアニメーション映画、そんな印象を受ける繊細な描写が随所に散りばめられており、スルスルと読み進めてしまう魅力ある作品です。

 物語を通して描かれる『救い』のありかたと、それを象徴づける『くらげ』。
 彼女らの選んだ道は賛否両論あるかもしれませんが、若い感性の願う救いとして理解できるようにも思うのです。ラストの手記によって、また少年少女が経た日々によって、救いのかたちが人それぞれであると痛感させられるからかもしれません。

 思いきって手を差し伸べることにより、色づく未来もあるのかもしれないと、私はそんなことを思いました。
 完結作品ですので、ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

眩しくなるほど甘酸っぱい青春小説です。

海月という重い荷を背負う女の子に、彼女を取り巻く魅力的な登場人物たちと、その眩しくなるほどの人間関係。
表現される心理描写は独特かつ繊細で、瞬く間に物語の中へと引き込まれてしまいました。

そして場面ごとに描かれる風景描写はどれも丁寧で、至る所で青春を想起させられます。
おばあちゃんの家や岬など、脳に刻まれるほど印象的です(笑)

くらげの生態説明から始まるプロローグ、物語は、散らかることなく綺麗にまとめられ、どうにも考えさせられる結末へと至り……。
万人が納得できる終わりではないと思うが、だからこそいつまでも余韻が残り続けます。

ぜひともおすすめしたい、素敵な小説です。

★★★ Excellent!!!

プロローグは終わりから語られています。
作中である者を、ただ美しいと思ったその感性が美しくもとても悲しく感じ心を締め付けられました。
そこから過去の出来事を回想する、そんな物語となっています。

当たり前の平凡な日々がちょっとした出来事で透明感と美しさに彩られた日々に変わると感じさせてくれる作品です。
登場人物たちの心の動きに思わずリンクしてしてしまうような、綿密で繊細な表現に思わず読み進めてしまいます。

登場人物たちの友情や何に美しさを感じるか等、キャラが生きているとはまさにこのことだと痛感しました。

★★★ Excellent!!!

彼らの言動の一つ一つに、共感を覚えることもあれば、そうでないこともあるという点も実在する高校生そのままで、とてもリアルです。
また、物語の核となる不思議な能力も、興味をそそられます。私たちは時に人と同化したがり、時に違うと主張したくなる。けれど、それが選べなくなった時、何を思い、何を得るのか、深く考えさせられました。
素敵なお話をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

「くらげの足跡は瑠璃色の空へと続く。」を読んでまず思ったのが、なんと綺麗で美しいんだろうということでした。丁寧に描かれた情景描写、まるで生きているかのように緻密に描かれた四人の高校生、そして家族の繊細な想い。ひとつ、またひとつ読み進めるたびに思わず息を溢してしまい、終わりが近づくに連れ、ああ、終わらないで欲しいと何度も思いました。切なくも優しさに溢れている。そんな物語に出逢えたことを、心より感謝を。

★★★ Excellent!!!

 最後まで拝読させていただきました。
 丁寧に紡がれた麗筆と細やかな描写によって、あっという間にストーリーに引き込まれます。伏線と回収もしっかりなされた破綻のない完成度の高いお話です。繊細なテーマを扱っておりますが、主人公の心理を細かく書くことで感情移入して読めます。涙腺が弱い方はぜひ、ハンカチのご用意を。
 長編執筆、お疲れさまでした! 次回作も楽しみにしております。

★★★ Excellent!!!

爽やかで、ひたすらに清々しくて。透明感満載な作品です。
年相応なキラキラ感もありながら、それだけでは終わらない。不思議な不思議な世界観。
一度踏み込んだらあなたも虜になるでしょう。

個性豊かなキャラクターたちが登場しますが、個人的には拓馬さんが好みです。男の子らしい発想に笑わせていただきました笑

★★★ Excellent!!!

高校生の響はある日、線路に飛び込もうとする一人の少女を救います。
「私はくらげになりたいから」
そう語る少女は何か秘密を抱えている様子です。少女と響、友人たちのひと夏の物語は、どのような結末を迎えるのでしょうか。


月並みな表現ですが、本当に美しい物語です。
色や形が鮮明に浮かぶような日常の風景や、主人公響や友人たちの心の揺れ動きが、上質で美しい筆致で描かれます。
この作品を読んでいて、映画のワンシーンのような映像が脳裏に浮かんだのは、私だけではないはずです!

また、数々の伏線が自然な流れで回収されて、徐々に真実が明らかになる展開に、ページを捲る手が止まらなくなりました。
少女の行動の理由が一つ一つ判明するにつれ、胸を打たれ、彼女のことがどんどん好きになっていきます。

物語の最後に彼らが選び取る結末には、涙が止まりません。

ゆっくり時間がある際に、どっぷり浸りつつ一気読みしたくなる作品です。

老若男女問わず、多くの方々におすすめです!

★★★ Excellent!!!

人類は70億人もいるのだから、千差万別の生き方と救われ方があって良いのだなぁ、と心に沁みる物語です。

ヒロインの海月が主人公の存在によって救われたことは、とても幸運で幸福な奇跡だったのでしょう。

美しく切ない描写が胸にスッと溶け込んで入ってくるので、話数が多めかな?と思って躊躇しているくらいなら呼んだ方が良いです。
思っているよりスラスラ読めて、止め時に困るほどなので。

恋と友情と絆を求めて泣きたいなら、是非、この物語をお勧めします!

★★★ Excellent!!!

 昨日に似た日が、今日も明日も始まってしまう。変わり映えのしない日々に、響はある少女と出会う。それは、駅のホームで電車を待っている時に、起こった出来事だった。

 謎の多い少女——。冬村海月と大橋響のひと夏の恋物語と、それを支える仲間達(静香と拓馬)の友情の物語。

 プロローグにて、驚きの展開が始まって行くが、実は過去を振り返るような作風で物語は動いていく——。



「私はくらげになりたい……」と言った海月。そして彼女の本心は? 彼女は自分の望む、くらげになれたのだろうか?……。

 誰にも話せない海月の置かれた立場。読む事に苦しさが伝わってきます。
 抗える事の出来ない苦しみと葛藤。絶望の中で見たものは一握りの希望だった。
 揺れる淡い恋心と現実の厳しさ。喪失感から前を向く救いの手は来るのだろうか。

 切なくも儚く、それでいて透明感のある美しく洗礼された文章は、読者を物語に一気に引き込んでいきます。背景描写も心理描写も素晴らしく、まるで映像を観ているかのようです。

 どうしても救われない運命に抗いながらも、救いを求める彼等の思いは、読む者を捉えて離さないでしょう。



 泣きたい夜に、読みたいこの物語——。読めば必ず、心が震えます。



★★★ Excellent!!!

 正直、このお話が書店にならんでいたら間違いなく私は購入していたレベルのお話になります。「素晴らしい」の一言以外は浮かんでこない「それくらいの」レベルの物語です。

 主人公の高校生がある「とある少女」を助ける事からこの物語は動き始めます。主人公は少女を通して「世界」をどんどん広げていきますが、でもそこは「男と女」、そういう「恋心」が芽生えてもおかしくないわけで、、、とここら辺までは「よくある話」なのです。

 しかし、ヒロインはとても変わった「願望」を持っていまして、それがこの物語の「キーセンテンス」になってきます。物語が進むと彼女は失踪してしまうのですが、ちゃんと主人公に色々なメッセージを残していきます。そして、そのメッセージに込められた真意とは?

 と、ミステリー的な要素もあって、その伏線の回収も完璧に近いです。この読み終わった後の読了感、皆様と一緒に共有したい。心からそう思える作品になります。是非!読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

とても良いものを読ませていただきました。伏線の回収も完璧ですし、とてもよく考えられた小説だと思いました。ただ、一つだけ残念なのは、個人的には誰かに死んでほしくない、って事だけです。できたら、奇跡が起きて、ハッピーエンドもありだったんじゃないかなって。もちろんこの結末は、とても感動的でした。この結末じゃなければ、ダメだったことも理解できます。それぞれの心の動きや、葛藤もよく描かれていたと思います。映像が浮かぶくらい、描写も良かったです。できたら、書籍化してほしいと思いました。また、こんな小説を読ませてください。お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

 主人公の男子高校生は、ある日の駅で、自殺しようとしていた美少女を助ける。彼女は、クラゲになりたいという一風変わった願望の持ち主だった。しかし、主人公を通して少女は二人のかけがいのない友人を得る。そして、やがて彼女には主人公に対する淡い恋心が芽生える。彼女は、好きな人を作るつもりはなかったのに、主人公に恋をしたのだ。
 四人は高齢女性の犬に縁あって、女性の家に入り浸っていた。しかし彼女と話した女性は、主人公にその犬を譲りたいと言い残して、亡くなってしまう。それは彼女がひた隠しにしてきた現実離れした能力と関係があった。
 そして、彼女は突如失踪した。日付を間違えた手紙を残して。彼女を探す主人公たちは、時折送られてくる詩的なメッセージから彼女の行先を探す。
 そんな主人公たちを待ち受けていたのは——。

 クラゲはほとんどが水分で出来ているため、死ぬと消えてしまうという。そんなクラゲに憧れた彼女の決断と、想いに、切なさが込み上げてくる一作です。

 是非、御一読下さい。

★★★ Excellent!!!

日向は暑く、木陰は涼しい。
その当然の感覚を表現するために、多彩なワードを選び出し、流麗に並べていく。
文章を読むだけで、読者も世界に飛び込めるような表現力が素晴らしかった。
そんな高い表現力で綴られるストーリーも素晴らしく、高校生活の青春とボーイミーツガール、そしてちょっと不思議が混じる世界観に没入出来るだろう。

★★★ Excellent!!!

 本当に素晴らしい物語。
「素晴らしい」という言葉でしか表現できない。心の奥深くに訴えてくる"なにか"がここに蠢いている。
 まさに「言うも愚かなり」である。
 読む者すべてを彼らの物語に没入させてくれる、圧倒的な情景描写。そしてストーリー構成。ひとつひとつの言葉の洗礼さが凄まじく、こんなものを無料で読まさせて頂いて良いのか躊躇ってしまう。
 僕が求めるすべてがここにあった。

 この作品を読むのに理由なんていらないだろう。さあ、次はそこのあなたの番です。