フェイントとファウルの恋心
朝日が眩しい。
いつの間私は寝ていたのだろうか?
そっか私は泣いてたんだっけ?
鏡を見ると目が腫れた醜い顔。
学校には行きたくない。渚に会いたくない。
そのまま、ずっとボーッと考え込んでいた。
いつの間にか登校時間もギリギリの時間帯になってくれていて安堵した。
「〇〇選手!見事なフェイントです!!」
家では昨日消し忘れたテレビが朝からサッカーW杯のダイジェストが歓声と共に流している。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。動くことすら面倒くさい。
「はい。どなたですか?」
「仁奈。俺だよ。渚」
ああ…やっぱり来てしまったのか。
「来なくていいのに。」
「いいから一旦開けてくれ」
仕方がないからドアを開けた。
「何の用?何も無いなら帰って。」
「あの説明してほしいんだけど…」
「なにを?とりあえず無理。」
午後2時、やはりこの時間帯になるとお腹が空いてきたので近くのコンビニに弁当を買いに行くことにした。
外は寒そうだったから出たくなかったけれど仕方が無い。
ドアを開けると隣に誰かがしゃがみこんでいた。
誰だったかって?…渚だった。
「あ!仁奈!やっと出てきたか」渚は何事もなかったようにニッと笑う。
「…学校は?」
「ん?休んだけど」
「何でここまでして私に付きまとうわけ?」
「お前が何でそんなに落ちこんでるのかを聞きに来た。」
「落ち込んでなんかないし。…彼女さんとお幸せに」
私は苦虫を噛み潰したような気持ちで早歩きでそこを去った。
「は…?彼女??…え…ちょっと待てよ」私の服の裾を引っ張る渚。
「離して。もう言い訳はいいから…」
「仁奈。まさかお前俺に彼女ができたとでも思ってたのか…??」
「…?え…そうじゃないの?」
「出来るわけあるか!こんな陰キャぼっちの男に…」
「え?じゃあこの前かわいいって言ってたのは?」
「あいつは親友!彼女じゃねぇよ…」
何だか恥ずかしくなった。自分の思い込みで勝手に落ち込んで、そして本当の事を聞いたらほっとして…
私の顔が赤くなる。
「じゃあ本当に彼女はいないの?」
「いたらこんな陰キャ生活送ってねぇわ…」
「ふーん…そっか。ならいいや」
「まさか仁奈こんなことで悩んでたのか??」
「当たり前でしょ…だって渚に彼女ができたら私までぼっちになっちゃうじゃん」
本当は違うけれど。
ただ、渚が好きなだけ。渚が離れていくのが寂しかった。
「なんだお前案外いいやつだな」再び渚がニッと笑う。
無邪気で無垢な笑顔。
家に帰ってきたとき、お昼ごはんを買いに行ったことも、お腹が空いていたことも忘れてそのまま渚と何時間も話していたことに気付いた。
私は渚に
これは私の心を惑わす
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