概要
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人物紹介
高久 匡・・・・・
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!日本に近くも異なる世界では、数多の形が結ばれる
かつての日本。そう錯覚するほど精緻な空気に満ちた世界はしかし、産土神や妖が存在する全く別の世界。そこには種族や性差によらない、数多の関係が溶け込んでいます。
硬質で美しい筆致によって綴られるのは、ハイファンタジー、人間ドラマ、群像劇、戦記、謎や痞えの解かれる過程であり、たくさんの思いが込められているのを感じました。
文章からも、物語からも、受けた印象は「白」です。
美、慈愛、善意、清廉潔白、無。容易に染まり、穢れ、時に見たくないものを映し、暴力にもなり得る。
そういった複雑な、或いはあまりにも真っ直ぐな事情は、言葉を尽くしても的確に語ることは困難で、でも、物語という形をとることによって、ど…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この雨は、小説でしか辿り着けない場所で降っている
一文目を読んだ時、ニヤッとしました。
「おいおいおい……傑作を見つけてしまったよ!」と。
そしてそれは、大当たりでした。
物語の舞台はみんな大好き、大正ロマンの香り漂う戦前日本。
柳田国男、折口信夫、南方熊楠といった民俗学者が掘り当ててきたおどろおどろしい農村の民話が現実に存在しており、驚くべきことに、政府がそれらを制御下に置いているという世界観です。
神なる野生と、近代国家の相克。
もうこの時点で、掻き立てられる熱いものがありますよね…
主人公は若き軍人。
国家の武力装置であり、近代社会の暴力と権威を象徴する存在です。
でありながら、彼の生い立ちは『秘級』と称される、信仰と怪異…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神と人と妖怪がとても身近に共生する、実力派の類稀なるハイファンタジー
まずは序章から第一章までの6万字をまるっと読んで頂きたい。カクヨムを訪れる活字中毒の皆様なら、きっとさらっと読み抜ける分量だと思う。
というのも、下記の紹介文に書こうと抜粋する単語の羅列では、この作品の良さを間違った方向に伝えかねないと思ったからだ。
まずは読んで欲しい。それに尽きる。
この作品の主人公は軍人である。人との戦い方も知らぬ子供達に、厳しく、戦いのなんたるかを教え、心より彼らの生還を祈る教官の立ち場の男だ。
どこか明治や大正浪漫を感じる色合いの中に、普通の日本ではありえない常識が根付いている。産土神という神の存在、のっぺらぼうや百目鬼のような妖怪、過去に起きた事件から危険度の格…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かで涼やかな文体で描かれる、いつかの日本のような世界
日本には古来より、様々な伝承や儀式、そして風習がある。それらすべてを託されたかのような世界にて、どこか静かに、けれど白刃のように煌めく文体で物語は紡がれていく。
民俗学や妖怪、儀式といったものに興味を抱いている人であれば、間違いなくどっぷりとこの世界に浸ることができるだろう。そうでなくとも、きっとどこか古い時代の日本を思わせる世界は、我々に懐かしさを覚えさせるのかもしれない。
生きる軍人、死を望まれのっぺらぼうになった者。果たしてどのようにして顔を取り戻すのか。彼らにはかつて何があったのか。
続きをと読む手が止まらなくなること間違いなしです。
ぜひご一読ください。