日本に近くも異なる世界では、数多の形が結ばれる

かつての日本。そう錯覚するほど精緻な空気に満ちた世界はしかし、産土神や妖が存在する全く別の世界。そこには種族や性差によらない、数多の関係が溶け込んでいます。
硬質で美しい筆致によって綴られるのは、ハイファンタジー、人間ドラマ、群像劇、戦記、謎や痞えの解かれる過程であり、たくさんの思いが込められているのを感じました。

文章からも、物語からも、受けた印象は「白」です。
美、慈愛、善意、清廉潔白、無。容易に染まり、穢れ、時に見たくないものを映し、暴力にもなり得る。
そういった複雑な、或いはあまりにも真っ直ぐな事情は、言葉を尽くしても的確に語ることは困難で、でも、物語という形をとることによって、どうしようもなく心に染み込んできたように思います。

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