拒まれた蝶に許しを
- ★★★ Excellent!!!
聞こえてきた何の変哲もない親子の会話。その父親の声に、私は彼との過去を思い出す。
二人の事情に思いを馳せ、なんとも遣る瀬ないような、儚いような気持ちになりました。
彼女たちは日の当たらない場所で蹂躙される蝶。お互いにどうしたらいいのかわからない、未熟な存在だったと思います。そんな二人は「間違える」ことしかできなかったし、それが正しかったとも思います。
なんとなく現実に足がついていないような、夢に片足を突っ込んだような空気感。でも、「この世にある命はぜんぶ、すごく大切なんだよ」と語るセキタくんは、もう蝶ではなく人として、現実を生きているのだと思いました。一方で、「あなたはなおしてもらえたの?」の言葉に、ことちゃんはまだ羽が千切れたままなのかもしれないと思いました。ただ、彼女には哀しさを抱えたままでも生きていける、自分の身を守れる強さもある気がしています。
切ないですが、お互いの抱えているものを打ち明けあった時間は、二人にとってとても意味のあるものだったのではないでしょうか。
余韻のある読後感も素敵でした。