二 はじまりの日(2)
歩道では軍人と民間人が絶えず行き交い、店先で
(
当初は令人の同郷である高久に白羽の矢が立ったのだが、高久は死ぬまで故郷に帰らない決心をしていた。桐ケ谷大将はそんな高久を説得していたが、当人の決意が揺るがなかったため、高久の同期である羽坂紘太朗が令人の護衛を任されるようになった。以来、羽坂が〈白幹ノ国〉と村を行き来している。
令人にとって伯父にあたる高久よりも羽坂の方が共に過ごした年月が長い筈だ。
「高久軍曹殿。つきましたよ」
「代金はこちらに」
「かしこまりました」
馭者は帽子を取り胸に当て、
〈白幹ノ国〉から全ての国、町、村へと繋がる〈
中に入ると緩やかな曲線を描いた開放感のある高い天井が真っ先に目に入る。〈白山〉の木を使い、格子状に組まれた天井から日の光が射しこんで、敢えて無機質にした白い床が
その上を忙しなく人と
高久は白い格子状の天井を
天井から駅の構内図に目線を移すと、構内は更に複雑に、一見して理解しづらい仕様になっていた。軍の報告で知っていたが、更に汽車が増えたようだ。近年、汽車を望む国、町、村が増えたこともあり、駅構内は複雑化していた。その為に
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