概要
東ユーラシア有数の貧民街の一つ龍灰窟にも、違法な仕事を活計とする男がいた。名はヴァラガン・ラッキーマン。長期記憶の大半が欠落しており、それを取り戻すことだけを生き甲斐にしていた。そんなある日のこと。ヴァラガンは記憶の復元を条件に、龍灰窟の頭から危険な仕事を任される。それをきっかけに自身の記憶の欠片を見つけ、ヴァラガンは記憶を巡る陰謀と暴力に巻き込まれていく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ハードボイルドなSF作品。応援コメント欄も必読ですぞ。
登場人物、街並み、世界観がじっとりと湿る空気のようにまとわりついてくる、そんな重厚な文章が魅力です。
先人の方々のレビューが的確なので、詳細はそちらを読んでいただければと思います。私の方はまた別の切り口で。
男爵イモさんは自主企画で作品へのアドバイスに繋がる評価企画をされている方です。
その関係か、この『内なる獣が〜』に寄せられている応援コメントでの読者さんの気付きとそれに対する作者さんの受け答えが創作活動をする上で、読む側と書く側とどちらの視点でも大変学びがあるものになっています。
新しい作品をどんどん書くことももちろん大事ですが、それだけだと全く似たような作品ばかり生み出す結果にもな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!骨太ながらも洗練された文章。重厚な設定とストーリーの本格SFがここに!
ハードボイルドな作風の本格SF。
『精神置換技術』が発展した世界で、人々は「チップ」に記憶を移したり、「複製素体」というクローンに肉体を乗り換えて不老不死を得ていた。
しかし、その恩恵に与れるのは富裕な者のみで、貧しい者は社会の掃きだめで生きていくしかなく、貧富の差が極端に広がっていた。
物語の舞台となる貧民街、『龍灰窟(ロンフェイクー)』で自身の記憶を求めながら戦う男、ヴァラガン・ラッキーマン。
ある仕事を請け負ったヴァラガンだったが、それを契機に『龍灰窟』全体を揺るがす事件に巻き込まれ、探し求めた記憶にも近づいていくことになる。
本作で特筆すべきはSF的世界観と、中華的な舞台が融合し…続きを読む - ★★ Very Good!!最大の魅力は世界観です。
※自主企画「批評で作品を伸ばそう!」に参加させて頂きました。
始めの3話を呼んだ感想です。
批評を書くことに慣れておりませんので、的外れでしたら申し訳ございません。
・良かったところ
世界観をしっかり持って描かれているのだな、と感じました。
末期感、無常感、場末の空気、生と死、そうしたこの世界のありようが第1話からすごく伝わってきます。
この物語がどういう世界で紡がれていくのかが重厚な手ごたえとして感じられました。
・もうひとつなところ
世界の描写に対して、人物の描写が少ないな、と感じました。
あえてくどく書いてないのかな、とも思いましたが、主人公を含めた登場人物の像が浮かびに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!王道SFで、「人間の証明」の記憶。その価値や、存在の意味とは、一体!?
前作「空虚に身を委ねて」と、似たダークで退廃的な世界観です。
それをそのまま、近未来に舞台を移したハード・ボイルドSFの傑作です!
ヴァラガン・ラッキーマンが冒頭で、自分の記憶を売るところから、物語は進展します。
混沌な様相を呈する、「龍灰窟」。そして、80年代、90年代の傑作SF映画の「ターミネーター」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を彷彿とさせる魅力ある登場人物達。
西洋風でありながら、中国マフィアのような、名前を持ち、和洋折衷の構造を持つ本作はオリジナリティあふれる力作です。
「延命管理局」、「デルフォード警察署」、などの、うごめく組織との暗闘、「ガントレット…続きを読む