第15話 鬼か人か

「お前は…自分と同じ人間を手にかけるかもしれないが…いいんだな?」


一番ガタイが良く、鋭い眼光を放つ鬼はキャベツ太郎をじっと見つめました。


鬼と婚姻するという事はもう二度と人間側には戻れない。その覚悟はあるのか…。


キャベツ太郎「……」


確かに人間の国では嫌な事は沢山あった。それはもう数え切れない程の沢山の事が。


けれど…お爺さんやお婆さん、いつも話してた人々。良い思い出もあった。


キャベツ太郎「オラは…ここに来る時に殺される覚悟で来ている。だから…受け入れてくれるのであれば、オラは人間の敵に…なる!」


「…良いだろう。お前を受け入れてやる。…だが、甘えは許さないからな」


言い終えるや否や、辺りから一斉に拍手が上がりました。


パチパチ…パチパチパチッ!――


キヌ「良かったな。実はあのオッサン…村の長であり、アタシのお父さんなんだよね」


キャベツ太郎「…えっ!!!!?」


猿「うわぁ…まさかの村長の娘とか…。キャベツ太郎…」


無事に婚姻の儀も終わり、晴れて群れの1人となったキャベツ太郎。


「ねぇねぇ!キャベツ太郎は何でそんな格好なのー?」

「ねぇ!どうやって体をおっきくしたの?強いの?」

「ねぇ~!これ出来る~?」


キャベツ太郎「あぁ…それは…」


キヌ「はーいはい!後でね!ほら、行くよ!」


人間を見た事が無い子供達に囲まれ揉みくちゃになっていた所を、キャベツ太郎はキヌに無理やり引っ張られて行きました。


キヌ「この村の中心にある石碑…。ここにアタシらの歴史が記されてるんだ」

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