第16話 鬼の歴史

近くで見ると石像は見上げるほど大きく、ビッシリと文字が刻んであった。


キャベツ太郎「…えっと」


猿「ふむふむ?」


キヌ「あはは!これは鬼にしかわからない文字だからアンタ達には読めないよ」


読もうとしても全く読めずにチラチラと見てくるキャベツ太郎達をケラケラと笑いました。


キヌ「およそ100年前。アタシ達の先祖は人間の国で暮らしてたんだ…」


キャベツ太郎・猿「えっっ!?」


石像に手を触れ、キヌはゆっくりと語ります。


…―およそ100年前。


アタシ達の先祖は人間の国で共に暮らしていた。


元々は人間より体が丈夫で能力が高い人間、だったんだ。


…けれど、国のお偉いさん方が自分達の私腹を肥やす為にアタシ達の先祖に呪いを施した。


目は獣の様に鋭く、頭からは角が生え、歯は尖り、体は倍大きく異形な姿へ…。


そして「人間」に命じた。

「かの極悪で異形なる者は討滅すべし」


彼らはアタシ達の土地を奪って、殺して、壊していった…。


人間なのに姿形が少しでも異形と見なされた者は「混ざり者」と呼ばれ、蔑まれた。


何度も何度も戦をし、島の端へ追い込まれ…鬼と混ざり者はこの離島に辿り着いた。


大人になってから異形の変化が見られた者、生まれたばかりの赤子でも混ざり者ならばこの島へ流され、この島は鬼と混ざり者の捨て島、鬼ヶ島と呼ばれる様になった。


猿「そんな…」


キャベツ太郎「元は…人間…?」


キヌ「あぁ…もう今はそんな面影も無いけどね」


寂しそうに笑うキヌをキャベツ太郎は初めてまじまじと見ました。


風に揺れる銀髪、尖った耳、暗闇でもキラキラと怪しく輝く瞳、体中にある濃い痣…。


キャベツ太郎「オラは…とても綺麗だと思う」

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