第7話 猿との出会い
突然犬に噛みつかれ、驚きと恐怖で必死に走ったキャベツ太郎。
山の中腹まで走って全身汗だく、心臓は体を突き破る勢いでバクバクと脈打っています。
キャベツ太郎「ハッァ”…ハッ…ングッ…ゲッホ!ハッハァッ…ハァ”ッハァ…大変な目に…あった…ゲホッ…」
息を整えようと木陰に向かうと、一匹の猿が樹から降りて来ました。
猿「ウキャッ」
キャベツ太郎「おや?賢そうなお猿さん、良かったら一緒に鬼ヶ島へ行ってくれないか?ハハッ…なーんてな」
猿はキャベツ太郎の顔をじっと眺めると、肩にピョンッと飛び乗りました。
キャベツ太郎「…!もしかして…オラと一緒に行ってくれるのか!?良かった…ありがとう!ほんとは凄く心細かったんだ…本当にありがとう!」
猿はキキッ!と鳴き声をあげると、目にも止まらぬ早業で、キャベツ太郎が着ている黒タイツの腕部分を引きちぎってしまいました。
キャベツ太郎「ぉおわぁっ!!?えっえっ!?何でこんな酷い事を…!」
猿「ダサかったから…」
キャベツ太郎「え…しゃべっ…え??いやそんな事よりダサいって何…」
軽く溜息をついた猿は、真顔で流暢(リュウチョウ)に話し出しました。
猿「喋れるのはあれだよ。その…そういうお約束ってあるじゃない。ダサいのはダサかったから。それ以上でもそれ以下でもない。…まずその黒タイツみたいなピッチリした服を着るには体型がもっとスリムじゃないと格好がつかないし、そもそもの話、全身の黒タイツを堂々と着てる時点でなかなかの奇抜過ぎる服のセンスしてるよね。もっと町の流行というか無難な服装というか、自分の体に合っているというか…身の丈に合う服装を心掛けた方がいいんじゃないかな、と」
キャベツ太郎「ちょっと何言ってるか分からない」
猿「何故わからないのかがわからない」
しばし、猿とキャベツ太郎の間に沈黙が流れました。
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