第8話 キジとの出会い

キャベツ太郎と猿は一切話すこと無く山の麓(フモト)までおりて来ました。


キャベツ太郎「…おや?」


川岸に差し掛かる所で一羽のキジを見つけました。


目の周りは鮮やかな赤が映え、全体的に緑や青が目立つ美しい色合いをしています。


猿「…キジが居れば、空から偵察したり鬼ヶ島への道案内も出来るかもですね」


少しムスッとしながら猿がポツリと呟きました。


険悪な雰囲気を変える為にも、キジを仲間にする為にも、キャベツ太郎は猿の顔を立てる事にしました。


キャベツ太郎「…そうだよなぁ。もしキジが一緒に来てくれると嬉しいけど…キジって警戒心が強いからオラじゃ無理かもなぁ~。なぁ、お猿さん。知恵を貸してくれないか?」


猿「ふふん。良いですよ?…こういうのはどうです?」


猿の提案は…

キジをおだてて仲間にした後、逃げれぬ様に足にタイツの紐を結んで、向こう岸で食べよう…という内容でした。


猿「まぁ、オイラに任せてよ」


そう言うと、猿は水辺で羽繕(ハヅクロ)いして寛(クツロ)いでいるキジの元へ向かいました。


猿「ねぇねぇ、そこのものすっごく美しくて凛々しいキジさん!」


キジ「…私に何かごようで?」


猿「あのさ…あそこの茂みに黒くてでっかい、ブッサイクなのが隠れているじゃない?」


キジ「クスッ…えぇ、居ますね」


猿「実はオイラとあのブサイクは鬼ヶ島に行きたいんだけど…良かったら付いてきてくれないかな?」


キジ「!?何をっ馬鹿な事を!嫌ですよ!」


猿「まぁまぁ、最後まで聞いてよ。鬼ヶ島に居るメスのキジとか…見たくない?」


キジ「え…いや…興味が無い…訳では無いですが」


猿「こんっなに美しくて凛々しくて寛大な心を持つキジさんがこーんな田舎のメスで満足しちゃうの?笑」


キジ「い…いやいや、でも鬼ヶ島なんて…」


猿「あぁ…怖いんだ笑」


キジ「はっ…ハァッ!!?そんな訳が無いでしょう!誰よりも美しく強い私が怖がるなんて事ありませんよ!」


猿「いやいや、無理しなくていいって。ごめんねぇ?別のキジに頼むわ」


キジ「…お、お待ちなさい!いいでしょう!私が連れて行ってあげますよ!この美しく強靭(キョウジン)な肉体を持つ私が!」


猿は心の中で計画通り…と言わんばかりの腹黒い笑みをこぼしました。

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