第20話 出陣

キャベツ太郎が群れに入り、鬼ヶ島での生活を始めて2年の月日が経ちました。


空は今にも雨が降りそうな程の曇天、海際には武器を携(タズサ)えた島の男衆、戦える女衆が集まっていました。


村長「時は来た…。皆の者いいか!我らは人間の国へと侵攻する!元々は我らの土地、それを還してもらうのだ!」


「ウォオオオオオオオ!!!」


鬼達の雄叫びがまるで地響きのように島中へと轟きます。


村長「しかし。これは侵攻といってもむやみやたらと殺すものではない。あくまでまた人間と共存する為だ。武器を持って抵抗する者に対してだけ相対せよ!」


全てを根絶やしにするのは容易い、だがそれが目的ではない。


鬼達は力強く頷き、村長の言葉に耳を傾けました。


村長「人間とて指をくわえて眺めるだけではない!殺される事も勿論ある。…その覚悟がある者だけ船に乗り込め!」


次々と船へと乗り込む鬼達。


猿「なぁ…本当にいいのか?」


物々しい雰囲気の中、猿はおずおずとキャベツ太郎に尋ねました。


キャベツ太郎「これは…オラの復讐でもあるし、オラは皆の為に戦う。お前は向こうに着いたら山へ帰ればいい」


キヌ「アンタ。無理すんなよ」


キヌはキャベツ太郎の手を握り、強く抱擁をしました。


キャベツ太郎「大丈夫だよ…オラはこんなに強くなったんだ。ほら、行こう?」


ポンポンと肩を叩き、2人と1匹は船から名前を呼ぶ鬼達の元へと急ぎました。


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