第21話 懐かしの声
真っ黒な雷雲が空一面に広がりゴロゴロと鳴り響きます。
「今にも雨が降りそうだ…」
漁港では漁師達が嵐に向けて仕事道具や船が動かない様に留めていました。
「おい…なんだぁ?ありゃあ」
「船が…こっちへ来るぞ…」
「おい…待て、あっちの方角は…」
鬼ヶ島のある方角から数隻の船がゆっくりとやってきます。
ピカッ!ゴロゴロゴロ…―
薄暗い海上を大きな稲妻が輝いて照らし、沢山の鬼が乗っている船をハッキリと映し出しました。
「はっ…ぁ…?お…に?」
「ぁ…ああ…わぁあああ!鬼だ!」
「鬼…鬼が来たぞぉお!!皆逃げろぉおお!」
一斉に漁港から逃げていく人々。
船から降りた鬼達は都の中心へ向かうべく、駆け出しました。
「オオオオオオオォオオッ…!!」
…いよいよ、鬼達の侵略が始まり、街中は逃げ惑う人間達の怒号と悲鳴でごった返しています。
キャベツ太郎「貴殿に恨みは無いが…切り捨て御免!」
キヌ「さぁ!かかってきな!女だからってなめてんじゃないよ!」
キャベツ太郎とキヌも、抵抗してくる武士達と戦いながら中心部へと向かいます。
キャベツ太郎「あそこが苦戦してる!キヌさん、行ける?」
キヌ「任しときな。アンタは向こうの奴らを頼んだよ!」
キャベツ太郎達は遊撃隊として戦況を見つつ、周りの補助にも回りました。
すると、どこからか聞き覚えのある懐かしい声が聞こえました。
「やめておくれぇ…!何で…何でこんな酷い事を…あぁ…こんなに鬼が…なんて事…」
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