第19話 鍛錬の成果
キャベツ太郎はいつもの様に村の外れにある拓けた場所で剣を振り、鍛練に勤(イソ)しんでいました。
シュッ…―
バキッ!
森の奥からキャベツ太郎に向かって数本の矢が放たれましたが、素早く反応して斬り落とします。
カンッ!
その背後からキヌが鉄の棍棒で殴りつけようとしましたが、それにも反応し迎え撃ちます。
キヌ「やるじゃないか…これはどう?」
キャベツ太郎「くっ…!」
さっきよりも速い動きで攻撃してくるキヌに、少しづつキャベツ太郎は押されつつも反撃の機会を伺います。
次の瞬間。
ガィンッ!
鈍い音を響かせながら鉄の棍棒はキヌの手から弾かれ、地面へと落ちました。
キヌ「あははっ!…お見事」
キャベツ太郎「ありがとうございます」
キヌは降参、と言うように顔の横で手を広げ、快活に笑いました。
村長「あの頼り無さげな男がここまで成長してるとはな…」
「わっ!見てたんですか?…ありがとうございます」
いつの間にか近くに居た村長に驚きつつも、褒められた事に嬉しさを隠しきれません。
キャベツ太郎は日々の鍛錬や稽古で体は締まり、顔つきも変わり、すっかり見違える様になっていました。
村長「久々に…血が滾ってきたな」
村長はキヌが落とした鉄の棍棒をヒョイと拾い上げると、ブンブンと素振りをし始めました。
もし当たれば砕ける…と容易に想像つきそうな風切音が響き渡ります。
キヌ「え…父さん?」
キャベツ太郎「いやいや…無理ですって!?」
村長の目がギラリと光ったかと思うと、キャベツ太郎に向かって大きく振りかぶってきました。
ギギギッ…―
何とか受け止めはしたものの、払う事も退く事も出来ない程の力の圧…。
キャベツ太郎「ぅ…ぉ…おおおおおっ!」
気合いの雄叫びを上げ、キャベツ太郎は力いっぱい押し戻しました。
村長「…!!ははははっ!なんて事だ…!」
キャベツ太郎「ハァッ…ハァッ…ゲホッ…」
全力を出し切ってその場でふらつくキャベツ太郎の背中をバシバシと叩き、村長は豪快に笑いました。
村長「お前…お前…!はははっ!」
キヌ「あー…気に入られたねぇ」
…この日を境に、鬼ヶ島の戦士達はより強固な訓練を始めるのでした。
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