第10話 腹ごしらえ

川を経て海原へ出たキャベツ太郎達…。


…途中。入り組んだ海流に巻き込まれるも、キジのおかげで方向を見失うこと無く、とうとう鬼ヶ島へ到着しました。


キャベツ太郎「ここが…」


島を囲む海は荒く、ゴツゴツとした岩肌が目立ち、中心部ではぽっかりと口を開けているかの様な洞窟が恐怖を誘います。


キジ「フフンッ!聡明で優雅な私のお陰で迷わずここまで来れましたねっ!!」


猿「(チッ…)さすがだよ!キジさん!」


キャベツ「とりあえず…飯にすっか…」


無事に鬼ヶ島へと着きましたが、お腹はペコペコ…。


猿はキャベツ太郎の足部分のタイツも引きちぎり、キジを雁字搦(ガンジガラ)めに器用に締めました。


キジ「…?何をして…え…え!!?ちょっ…何!?聞いてた話と違っ…―」


キャベツ太郎と猿は無言でキジを手際よく捌(サバ)き、羽根を毟(ムシ)り、こんがりと焼き上げました。


猿「シンプルだけどこの焼きたてに塩を振っただけの焼き鳥…最高っ!」


キャベツ太郎「やっぱシメ立てで活きが良かったからか身が引き締まってんのに肉が柔らかいっ!外はカリカリこんがり香ばしいのに、中は肉汁が溢れて出てスープにしたいくらい!美味い!美味すぎる!」


ガサガサッ…!


キャベツ太郎・猿「!?」


不意に後ろの物陰から何かの気配がし、キャベツ太郎達は音の方向を警戒しました。


キャベツ太郎「だ…誰か居るのか!?」


キャベツ太郎と猿にかつてないほどの緊張が走りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る