第13話 漢気溢れる女鬼
猿「姐さん、大丈夫すか!?こんな体型でこんな顔なんすよ!?え?え?え?大丈夫すか!?変なもの拾い食いしたんですか!?ちょっと頭殴っておきましょうか!?」
まぁまぁ失礼な事を叫び散らしながら周りをウロウロする猿をよそに、女鬼は決心した面持ちでキャベツ太郎に話しかけました。
女鬼「なぁ…お前…名前は?」
キャベツ太郎「オラの名前は…キャベツ太郎だ」
女鬼「変な名前だねぇ…。お前はここに嫁探しに来たんだろ?」
キャベツ太郎「そうだ…。町娘やうんと年上のお姉さんにも拒否されて、最悪…この島で殺されてしまうかもしれない。だけど…最後の賭けでオラはここに嫁探しに来た!」
意地ともヤケクソとも、熱い闘志とも取れるキャベツ太郎の魂の叫びを聞いて、女鬼はニヤリと笑った。
女鬼「フフっ…その意気や良し!気に入った。囲ってやる。アタシの名前はキヌだ。村に案内してやるよ」
キャベツ太郎「囲…う?」
猿「え…?もしかして…これは…」
キヌ「あー…説明してやる。アタシらの一族は基本的に重婚、群れるんだ。1人が複数人と結婚なんて当たり前。だけど、実力主義だからね。力や能力が強い奴にしか男も女もなびかないよ。人間ってのは決まった1人としか番(ツガイ)にならないんだろ?なんとも窮屈だねぇ」
キヌは豪快に笑うと、着いてきなと手をギュッと握って森の奥へと誘いました。
キャベツ太郎「猿…オラ…この島に来て…本当に…良かった…」
猿「もしかして村に連れてかれたら丸焼きにして食べられるんじゃないですかねーはははー」
猿は心底面白くなくて悪態をついていましたが、嬉しくて号泣しているキャベツ太郎を見ていると、少し貰い泣きしそうになっていました。
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