第5話 オーバーフィット

鬼ヶ島へ出発する日。


お爺さん「…そうじゃ!この前行商人が巷で人気という…これは?えーっと何じゃったかな…?そうそう!全身【黒たいつ】じゃ!夏でも冬でも快適に過ごせる異国の流行服らしいぞい!少し破れやすいみたいじゃが…まぁ大丈夫じゃろ。どうじゃ?」


キャベツ太郎「これが…巷で人気の全身黒たいつ?かぁ…!わぁ!オラの体をしっかり包んでくれるし、とっても動きやすいよ!お爺さん、ありがとう!」


巷で人気という事で、早くも期待に胸が高鳴ります。


…しかしキャベツ太郎の体型はどう頑張ってもはち切れんばかりのわがままボディ。


生地が伸び切っても透けて見えない事が唯一の救いかも知れません。


お婆さん「儂からはこれを…」


お婆さんは道中の安全祈願のお守りと沢山の団子が入った巾着袋を渡しました。


袋を開くとふわりと甘く、香ばしい団子の美味しそうな匂い。


いつも食べている優しい味を思い出して、キャベツ太郎は嬉しくなりました。


キャベツ太郎「ありがとうお婆さん!お腹が空いたら食べるね!」


お婆さん「あー…それはホウ酸ダンゴだから食えんよ?」


お婆さんがキャベツ太郎に渡したのは美味しいお団子ではなく、ホウ酸ダンゴでした。


キャベツ太郎「…え?いや、何でホウ酸ダンゴを?」


お婆さん「ふふっ…(ニコッ)」


キャベツ太郎は何故お婆さんがホウ酸ダンゴを渡してきたのか聞こうと思いましたが、少し怖くなりやめておきました。

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