葉書に走る、黒墨色の風景:お題『筆』
机の上に葉書が広げられている。
水面を泳ぐ金魚、風情を感じる花火、瑞々しいスイカ、青空に映える入道雲、波間に揺れる海岸と貝殻。夏らしいモチーフが描かれた葉書たちは、背景に寒色を多めに使うことで夏の爽やかさと涼しげな雰囲気を演出していた。
そんな葉書に筆ペンが走る。楷書で一文字ずつ丁寧に書かれた文字は僅かに書き癖や角度の違いがあるだけで、どの葉書にも同じ文言が綴られる。良くしてくれる親戚、実家の近所に住む顔なじみ、学生時代からの友人。最近滅多に会わないからこそ、こういう繋がりは大切にしたいと思っている。
「もうすぐ夏がくるんだな」
持っていた筆ペンを置く。
書き上げた暑中見舞葉書を見て、満足げに頷いた。
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