君と過ごす夏色の風景

吹雪舞桜

からりと笑う、茜色の風景:お題『黄昏』

 それは、目を奪われるような夕焼けだった。

 眩しいほどの橙色の濃淡で染まる空は、日の当たらない雲の影と漆黒の街並みが鮮明な明暗を描いていて。燃えるような日没で鮮やかに彩られる夕空は、遠くまで届く赤色の光でさえ届かないその先から、ゆっくりと夜空へ入れ替わっていく。

 沈み消える直前の太陽が照らす橙色の世界が目に滲みた。

「綺麗な夕焼けが見れたら明日は晴れるんだって!」

 隣に立つ君はそう言って嬉しそうに笑う。

 君の日焼けした短い髪も、お気に入りだと言っていたショルダーバッグも、全部、橙色に染まっている。

「明日晴れたら、どっか遊びに出掛けようよ」

 茜色に照らされて、黄昏を背負う君の笑顔はとても眩しかった。

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