ぽたりと響く、雨色の風景:お題『滴る』

 しとしとと雨が降っている。

 穏やかな雨粒たちが窓ガラスを伝ってゆっくりと落ちていき、静かな雨音がビージーエムのように室内にしっとりと流れている。空はどんよりとした分厚い灰色の雲に覆われているが、昼過ぎなこともあってか部屋は案外明るいので、読書にはもってこいだろう。

 軒先から滴る雨水がポタポタと音を立てている。

 この時期の雨特有のじめりとした空気が肌にまとわりつく不快感も、冷房の効いた部屋ならば気にしなくていいし、それにまだ読み終わっていない本もある。

 こんな日は家でゆっくり読書をするに限ると、そう心に決めて読みかけのハードカバーを片手にベッドに腰掛ける。

 雨が奏でる音たちに耳を傾けながら、本を開いた。

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